ゆるむしの森プロジェクト

休耕田に自然発生した森林緑地「ゆるむしの森」の観察、管理・運営活動を中心とする情報ブログ

タテハチョウ科ーイチモンジチョウ亜科・ドクチョウ亜科

2023.11.23更新  ゆるむしの森のチョウ

「ゆるむしの森」には、イチモンジチョウ亜科のチョウ3種が生息しています。ドクチョウ亜科のチョウは1種を確認しています(ほかに偶発的飛来の可能性のある2種)。目撃できる個体数(目撃頻度)については:多い +++ 、中程度 ++、少ない +、稀 (+) で表しています。

                   

イチモンジチョウ亜科 Limenitidinae

イチモンジチョウ Limenitis camilla

●前翅長:25–36 mm  ●時期:5–10月 ●越冬態:幼虫  ●目撃頻度:●幼虫の食草:スイカズラ、ウグイスカズラ、タニウツギハコネウツギ、ヤブウツギなどのスイカズラ科植物

備考:イチモンジチョウ亜科のなかでは、全国的にコミスジと並んで普通に見られる種ですが、ゆるむしの森での目撃頻度は下記のアサマイチモンジより低いです。飛んでいる時には、アサマイチモンジとの識別は困難で、同定には止まっている状態で前翅の白紋をよく観察する必要があります。

                   

アサマイチモンジ Limenitis glorifica

●前翅長:28–38 mm  ●時期:5–10月 ●越冬態:幼虫  ●目撃頻度:++  ●埼玉県 (2018) 准絶滅危惧2型(NT2)[1●幼虫の食草:スイカズラタニウツギハコネウツギ、ヤブウツギなどのスイカズラ科植物

備考:日本では本州にしかいない種で、埼玉県内の分布も局地的ですが、分布地での個体数は割と多いです。この森でもイチモンジチョウよりも多く見られます。

                   

ミスジ Neptis sappho

●前翅長:24–30 mm  ●時期:4–10月  ●越冬態:幼虫  ●目撃頻度:++  ●幼虫の食草:クズ、ナンテンハギ、ハギ、ハリエンジュ、フジなどのマメ科植物

備考:イチモンジチョウ亜科のなかでは、最も普通の種です。

                   

ドクチョウ亜科 Heliconiinae

ツマグロヒョウモン Argyreus hyperbius

●前翅長:28–38 mm  ●時期:4–11月 ●越冬態:幼虫  ●目撃頻度:++  ●幼虫の食草:野生のスミレ類(スミレ、シロバナスミレ、タチツボスミレ、ヒメスミレなど)のほか、スミレ属の園芸種(パンジービオラなど)

備考:南方系のチョウであり、数十年前には関東にはいませんでしたが、年を追って北上化し、分布域を広げています。今では最も普通のヒョウモンチョウの種になりました。地球温暖化の影響に加え、ビオラなどの園芸植物の広がりも分布拡大に拍車をかけていると考えられます。

                   

ミドリヒョウモン Argynnis paphia

これまで2021年の秋、2022年の秋にそれぞれ一回ずつ目撃しています。埼玉県東部ではほとんど見られない種ですが、生息の可能性もあります。

                   

メスグロヒョウモン Damora sagana

2022年9月、ゆるむしの森の近くの樹木で一回のみ目撃(偶発的飛来か、生息しているのかを調査中)

                   

引用文献

[1] 埼玉県レッドデータブック動物編2018  (6) 昆虫類 ② チョウ目チョウ類: https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/129694/16reddatabook-chourui.pdf

                   

カテゴリー:ゆるむしの森のチョウ

タテハチョウ科ータテハチョウ亜科・コムラサキ亜科

2023.10.13更新  ゆるむしの森のチョウ

「ゆるむしの森」には、沢山のタテハチョウ科 Nymphalidae の仲間が生息しています。これまで生息を確認しているのは19種です。ここではタテハチョウ亜科5種、コムラサキ亜科3種の写真を載せます。目撃できる個体数(目撃頻度)については:多い +++ 、中程度 ++、少ない +、稀 (+) で表しています。

                   

タテハチョウ亜科 Nymphalinae

キタテハ Polygonia c-aureum (Nymphalis c-aureum) 英:Asian Comma

●前翅長:25–35 mm  ●時期:3–4月(越冬型)、5–11月(年4回発生) ●越冬態:成虫  ●目撃頻度:+++  ●幼虫の食草:アサ、カナムグラ、カラハナソウなどのアサ科草本、アカソ、コソバイラクサイラクサ科)

備考:ゆるむしの森では最も個体数が多いタテハチョウの一つです。一年中見られる種ですが、特にカナムグラの繁殖に伴って秋に大発生します。夏型の黄色に比べて秋型は朱色が強くなります。

                   

アカタテハ  Vanessa indica  英:Indian Red Admiral

●前翅長:30–35 mm  ●時期:3–4月(越冬型)、5–10月(年3回発生)  ●越冬態:成虫、幼虫  ●目撃頻度:(+)  ●幼虫の食草:カラムシ、ヤブマオなどのイラクサ科草本ケヤキ、ハルニレ(ニレ科樹木)

備考:普通種ですが、この森や周囲エリアでは珍しい種で、目撃頻度は限られます。食草であるカラムシやヤブマオの少なさに帰因していると考えられます。

                   

ヒメアカタテハ  Vanessa cardui  英:Painted Lady

●前翅長:26–33 mm  ●時期:4–11月  ●越冬態:不定  ●目撃頻度:+  ●幼虫の食草:キク科(ハハコグサヨモギなど)、イラクサ科(イラクサ、カラムシなど)

備考:本種もアカタテハ同様普通種ですが、目撃は限られます。幼虫の食草のヨモギなどの少なさが原因だと思われます。

                   

ルリタテハ  Kaniska canace  英:Blue Admiral

●前翅長:27–43 mm  ●時期:3–4月(越冬型)、5–10月 (年3回発生) ●越冬態:成虫  ●目撃頻度:+  ●幼虫の食草:サルトリイバラ科(サルトリイバラ、シオデ)、ユリ科ヤマユリホトトギスなど)

備考:タテハチョウ亜科のなかでは、キタテハに次いでよく目撃できます。森内のサルトリイバラなどに幼虫の発生も見られます。

                   

ヒオドシチョウ  Nymphalis xanrhomelas 英:Large Tortoiseshell (yellow-legged tortoiseshell)

●前翅長:27–43 mm  ●時期:3–4月(越冬型)、6月、9–11月 (年1回発生) ●越冬態:成虫  ●目撃頻度:(+)  ●埼玉県 (2018) 絶滅危惧II類(VU)[1●幼虫の食草:エノキ、アキニレ、ヤナギ類

備考:全国的に減少が著しい種で、埼玉県内でも生息地は限られます。ゆるむしの森でも目撃頻度は少ないですが、春には越冬した個体が比較的多く見られます。

                   

コムラサキ亜科 Apaturinae

コムラサキ  Apatura metis  英:Freyer's Purple Emperor

●前翅長:30–42 mm  ●時期:5–10月(年3回発生) ●越冬態:幼虫  ●目撃頻度:++  幼虫の食草:カワナヤギ、シダレヤナギ、マルバヤナギなどのヤナギ科の樹木

備考:埼玉県や周辺の地域でも減少している種で、ヤナギ類の伐採とともに次第に分布が局地的になってきています。ゆるむしの森ではヤナギ類が多く、成虫も豊富に見ることができます。

                   

ゴマダラチョウ  Hestina japonica (Hestina persimilis japonica) 英:Siren Butterfly

●前翅長:34–48 mm  ●時期:5–9月(年3回発生)●越冬態:幼虫  ●目撃頻度:+  幼虫の食草:エノキ、エゾエノキ(アサ科樹木)

備考:エノキを食樹とする普通種ですが、やはり全国的に個体数が年々減る傾向にあるようです。この森では、コムラサキや下記のアカボシゴマダラと比べると、目撃できる回数は少ないです。

                   

アカボシゴマダラ  Hestina assimilis assimilis   英:Red Ring Skirt

●前翅長:38–52 mm  ●時期:4–11月(年3–4回発生)●越冬態:幼虫  ●目撃頻度:+++  特定外来生物  幼虫の食草:エノキ、エゾエノキ、クワノハエノキ(アサ科樹木)

備考:この森ではキタテハと並んで最も多く見られるタテハチョウです。関東中心に生息する外来種ですが、年々生息域を拡大しています。たとえば、西の地域では愛知県で毎年越冬幼虫を確認しています。幼虫の宿木が同じであるゴマダラチョウとの競合が懸念されていますが、ゆるむしの森を含めて調べた範囲(埼玉、千葉、東京、愛知)では、本種の幼虫はもっぱらエノキ低幼木に、ゴマダラチョウは高木・亜高木に幼虫が見られ、棲み分けしている印象です。

                   

引用文献

[1] 埼玉県レッドデータブック動物編2018  (6) 昆虫類 ② チョウ目チョウ類: https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/129694/16reddatabook-chourui.pdf

                   

カテゴリー:ゆるむしの森のチョウ

シロチョウ科

2023.04.04更新 ゆるむしの森のチョウ

「ゆるむしの森」および周辺エリアで、これまで観察できたシロチョウ科 Papilionidae のチョウは4種です。時期については、成虫の出現時期を表します。目撃できる個体数については:多い +++ 、中程度 ++、少ない +、稀 (+) で表しています。

                   

モンキチョウ亜科 Coliadinae

モンキチョウ  Colias erate  英:Eastern Pale Clouded Yellow

●前翅長:24–33 mm  ●時期:3–11月  ●越冬態:蛹  ●目撃頻度:++  ●幼虫の食草:アカツメクサシロツメクサミヤコグサレンゲソウなどの多くのマメ科植物

備考:最も普通に見られるチョウの一つです。

                   

キタキチョウ(キチョウ) Eurema mandarina  英:Common Grass Yellow

●前翅長:19–27 mm  ●時期:3–11月  ●越冬態:成虫  ●目撃頻度:+++  ●幼虫の食草:ネムノキ、ケハギ、ウマゴヤシ、ハリエンジュなどのマメ科、クロウメモドキなどのクロウメモドキ

備考:普通種ですが、5月から初夏にかけては個体数が少なくなります。秋に大発生します。

                   

モンシロチョウ亜科 Pierinae

モンシロチョウ Pieris rapae 英:Small White

●前翅長:20–30 mm  ●時期:3–11月  ●越冬態:蛹  ●目撃頻度:+++  ●幼虫の食草:アブラナシロツメクサ、キャベツなどの多くのアブラナ科植物

備考:ゆるむしの森で、年間を通じて最も個体数が多いチョウです。

                   

スジグロシロチョウ Pieris melete 英:Gray-vanied Whilte

●前翅長:25–35 mm  ●時期:4–10月  ●越冬態:蛹  ●目撃頻度:+  ●幼虫の食草:イヌガラシ、ダイコン、アブラナカラシナなどのアブラナ科植物

備考:モンシロチョウよりやや大きく、飛び方も緩やかで、林縁や林間をヒラヒラ飛んでいることが多いです。普通種ですが、モンシロチョウよりはるかに少なく、なかなかお目にかかれません。

                   

カテゴリー:ゆるむしの森のチョウ

アゲハチョウ科

2023.9.01更新  ゆるむしの森のチョウ

「ゆるむしの森」および周辺エリアで、これまで生息が確認できたアゲハチョウ科 Papilionidae のチョウは6種です。目撃できる個体数については:多い +++ 、中程度 ++、少ない +、稀 (+) で表しています。

                 

アゲハチョウ亜科 Papilioninae

アゲハチョウ(ナミアゲハPapilio xuthus   英: Asian Swallowtail

●前翅長:38–60 mm  ●時期:3–11月  ●越冬態:蛹  ●目撃頻度:++  ●幼虫の食草:ミカン、カラタチ、サンショウなどのミカン科植物

                 

キアゲハ Papilio machaon  英: Old World Swallowtail

●前翅長:38–65 mm  ●時期:3–11月  ●越冬態:蛹  ●目撃頻度:+  ●幼虫の食草:ハマウド、シシウド、ノダケなどのセリ科植物、ニンジン、ミツバ、アシタバ、パセリなど

                 

クロアゲハ  Papilio protenor  英: Spangle

●前翅長:45–70 mm  ●時期:4–9月  ●越冬態:蛹  ●目撃頻度:+  ●幼虫の食草:ミカン、ユズ、カラタチ、サンショウなどのミカン科植物

                 

ナガサキアゲハ  Papilio memnon  英: Great Mormon 

●前翅長:60–80 mm  ●時期:5–10月  ●越冬態:蛹  ●目撃頻度:+  ●幼虫の食草:ミカン、ユズ、カラタチ、サンショウなどのミカン科植物

                 

ジャコウアゲハ  Atrophaneura alcinous

●前翅長:45–60 mm  ●時期:4–10月  ●越冬態:蛹  ●目撃頻度:(+)  ●幼虫の食草:ウマノスズクサなどウマノスズクサ科植物

                 

アオスジアゲハ Graphium sarpedon  英: Common Bluebottle

●前翅長:35–45 mm  ●時期:5–10月  ●越冬態:蛹  ●目撃頻度:++  ●幼虫の食草:クスノキタブノキ、イヌガシ、ニッケイなどのクスノキ科植物

                 

カテゴリー:ゆるむしの森のチョウ

ゆるむしの森のチョウ

ゆるむしの森とその周辺に生息するチョウの記録ページです。

2023.9.09 更新

「ゆるむしの森」が位置する埼玉県東部では、これまで58種のチョウの生息が認められています [1]。市単位では春日部市による調査があり、41種が記録されています [2]。ゆるむしの森プロジェクトでは、ゆるむしの森のコア区域(0.9 ha →ゆるむしの森活動拠点の視察])および周辺を含む約 3 ha のエリア内でチョウの分布調査を行なっていますが、その狭い範囲と水田地帯のど真ん中という環境特性にもかかわらず、現在まで45種の生息を確認しています(生息未確認の目撃種も併せると53種、表1)。ちなみに、毎年成虫が複数回見られる場合、および食草とともに幼虫・蛹を確認した場合を生息と判断しています。これらの中には、埼玉県が指定する(準)絶滅危惧7種も含まれます [3](ヘッダ写真の右4つが[準]絶滅危惧種

ここでは、ゆるむしの森を中心としたこのエリア内で撮影できたチョウを、科および亜科ごとに紹介します。

           

●アゲハチョウ科

●シロチョウ科

●タテハチョウ科ータテハチョウ亜科・コムラサキ亜科

●タテハチョウ科ーイチモンジチョウ亜科・ドクチョウ亜科

●タテハチョウ科ージャノメチョウ亜科・テングチョウ亜科

●シジミチョウ科

●セセリチョウ科

           

チョウの分布状態(目撃頻度)については表1に示します。目撃頻度については、過去2年間の4–11月における、月2回以上のトランセクト調査 [4] によって記録できた目撃回数に基づいて、+++ 多い、++ 中程度、+ 少ない、(+) まれ、で表しています。また、目撃回数が非常に少なく、偶産と思われるものおよび生息を確認中のものについては△で表しています。

表1. 「ゆるむしの森」および周辺エリアで目撃されたチョウ53種(生息を確認した45種および偶産などの8種)

分布(目撃頻度):+++, 多い; ++, 中程度; +, 少ない; (+), まれ; △, 偶産、偶発的飛来、あるいは生息確認中.  埼玉県レッドリストの種:**, 絶滅危惧II類(VU);*1, 準絶滅危惧1型(NT1); *2, 準絶滅危惧2型(NT2). §, 環境省カテゴリー準絶滅危惧(NT).

注意しなければいけないのが、全ての種が4–11月にくまなく見られるわけではないということです。ミドリシジミのように6-7月にしか見られない種もいますし、コムラサキ亜科の種のように、羽化時期の5、7、9月に多く見られ、偶数月には減るような種もいます。周年に目撃できる回数は平均値なので、発生時期に目撃できる各々の種の個体数は、実際はそれよりも多い印象になります。

蝶ではありませんが、チョウ目ヤママユガ科のオオミズアオオナガミズアオも生息します。                   

引用記事・文献

[1] <埼玉県の蝶>埼玉県生息の蝶

[2] 春日部市環境政策科 みんなで取り組む生き物調査プロジェクト報告書 2019. https://www.city.kasukabe.lg.jp/material/files/group/31/houkokusyo2019.pdf

[3] 埼玉県レッドデータブック動物編2018  (6) 昆虫類 ② チョウ目チョウ類: https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/129694/16reddatabook-chourui.pdf

[4] 日本チョウ類保全協会(訳):チョウ類のトランセクト調査ーチョウのモニタリングマニュアル (Sevilleja, C. G. et al. Butterfly Transect Counts: Manual to monitor butterflies. Report VS2019.016, Butterfly Conservation Europe & De Vlinderstichting/Dutch Butterfly Conservation, Wageningen, 2019). https://butterfly-monitoring.net/sites/default/files/Pdf/Manual/Butterfly%20Transect%20Counts-Manual%20v2Japanese.pdf

                

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初秋のチョウ

カテゴリー:生き物観察

9月に入り、「ゆるむしの森」で見られるチョウ類のなかにも秋を感じさせるものが出てきました。まず、写真1はアカボシゴマダラです。8月は3化目の幼虫の変態の時期で成虫はあまり見られませんでしたが、9月に入り羽化した個体が増えています。いま森内を飛び交う姿を多数見ることができます。

写真1  草むらで静止するアカボシゴマダラ Hestina assimilis assimilis(2022年9月6日)

写真2右は、羽化したアカボシゴマダラの蛹痕で、あちこちのエノキに多数残っています。まだまだ蛹の段階のものも存在します(写真2左)。

↑写真2 エノキの葉にぶら下がるアカボシゴマダラの蛹(左)と蛹痕(右)(2022年9月6日)

アカボシゴマダラとほぼ同じ時期に羽化するのがゴマダラチョウです(写真3、4)。9月は3化目の成虫が多数見られます。この数年、関東地域でも個体数が少なくなっているゴマダラチョウですが、これほど成虫が見られる森も少ないと思います。

写真3  エノキの葉上でやすむゴマダラチョウ Hestina persimilis japonica(2022年9月16日)

写真4  下草でとまるゴマダラチョウ(2022年9月16日)

森のすぐ横には民家がありますが、その敷地の周囲にアカタテハが飛んでいて、地面に止まった瞬間をうまくとらえることができました(写真5)。

写真5  民家の周囲の路地でとまるアカタテハ Vanessa indica(2022年9月6日)

ヒョウモンチョウの仲間で確認している種は、これまでツマグロヒョウモンのみです。盛夏の間あまり見かけなくなっていましたが、9月に入り、草むらや樹間を飛んでいる姿をまた見かけるようになりました(写真6)。

写真6  ツマグロヒョウモン(2022年9月16日)

写真7ヒカゲチョウです。盛夏時期はほとんど姿を消していましたが、9月に入って再び見られるようになりました。

写真7 アキニレの幹で静止するヒカゲチョウ Lethe sicelis(2022年9月16日)

ヒカゲチョウと並んで個体数が多いジャノメチョウがヒメジャノメです(写真8)。

写真8  下草にとまるヒメジャノメ Mycalesis gotama(2022年9月16日)

秋を感じさせるのがウラナミシジミです(写真9、10)。南方系のチョウで、夏から北上し始め、この地域では9月晩秋にかけて多くなります。

写真9 草むらで静止するウラナミシジミ Lampides boeticus(2022年9月16日)

写真10  ウラナミシジミ(2022年9月16日)

9月になってまた一段と個体数が増えたのがセセリチョウの仲間です。この森で一番多い種がオオチャバネセセリです(写真11、12)。

写真10  草むらのオオチャバネセセリ Zinaida pellucida(2022年9月16日)

この森では多数見られるオオチャバネセセリですが、埼玉県では準絶滅危惧2型(NT2)に指定されています。

写真11  オオチャバネセセリ(2022年9月16日)

オオチャバネセセリと比べると個体数は少ないですが、キマダラセセリも夏を過ぎて多くなったような気がします(写真12)。

写真12  ハンノキ林の下草にとまるキマダラセセリ Potanthus flavus(2022年9月6日)

上記のほか、9月前半に見られた種は以下のようになります。

アゲハチョウ科:ナミアゲハ、アオスジアゲハ、クロアゲハ、ナガサキアゲハ

シロショウ科:モンシロチョウ、キタキチョウ

タテハチョウ科:コムラサキ、キタテハ、ヒメアカタテハルリタテハ、アサマイチモンジ、イチモンジチョウ、コミスジサトキマダラヒカゲ、ヒメウラナミジャノメ

シジミチョウ科:ムラサキシジミベニシジミヤマトシジミ、ツバメシジミ

セセリチョウ科:ダイミョウセセリ、イチモンジセセリ

            

カテゴリー:生き物観察

ゆるむしの森の甲虫類

カテゴリー:生き物観察

「ゆるむしの森」ではさまざまな種類の甲虫(コウチュウ目)が生息しています。ここでは割と頻繁に樹上で目撃する種類を中心に紹介したいと思います。

まずはカミキリムシ科(Cerambycidae)の仲間です。写真1はミヤマカミキリ(カミキリ亜科)です。夜間、クヌギ、コナラなどの樹液に集まる習性がありますが、この森ではアキニレの木でよく見かけます。

↑写真1  アキニレ上のミヤマカミキリ Neocerambyx radde(2022年7月7日)

ミヤマカミキリとともによく目撃するのがゴマダラカミキリです(フトカミキリ亜科)(写真2)。最も普通なカミキリ種の一つです。

写真2  アキニレを駆け上るゴマダラカミキリ Anoplophora malasiaca(2022年7月7日)

上記2種ほどではないですが、ときどき見かけるのがキボシカミキリです(フトカミキリ亜科)(写真3)。クワ、イチジク、ミカンなどの食害虫として知られます。ゆるむしの森ではもっぱらクワの木で目撃することができます。

写真3  エノキの葉上のキボシカミキリ Psacothea hilaris(2022年8月6日)

次はコガネムシ(Scarabaeidae)の仲間です。写真4コガネムシスジコガネ亜科)、写真5はアオドウガネ(スジコガネ亜科)で、この森で沢山見ることができます。

写真4  セイタカアワダチソウにとまるコガネムシ Mimela splendens(2022年6月7日)

↑写真5  エノキの葉上にとまるアオドウガネ Anomala albopilosa(2022年9月6日)

写真6はカナブン(ハナムグリ亜科)です。ヤナギ類やアキニレの樹液を吸う姿が頻繁に見られます。

↑写真6  マルバヤナギ上のカナブン Pseudotorynorhina japonica(2022年8月6日)

カナブンとともによく見られるのがシロテンハナムグリハナムグリ亜科)です(写真7)。こちらもヤナギ類やアキニレの木によくいます。

↑写真7  アキニレにとまるシロテンハナムグリ Protaetia orientalis(2022年6月1日)

写真8は、アキニレの樹液に集まったカナブンとシロテンハナムグリです。

写真8  アキニレの樹液を吸うカナブンとシラホシハナムグリ(2022年9月6日)

上記2種と比べるとやや少ないように思われますが、コアオハナムグリハナムグリ亜科)もときどき見かけます(写真9)。

写真9  アキニレ上のコアオハナムグリ Gametis jucunda(2022年5月12日)

タマムシ(Buprestidae)の中では、やはりタマムシ(ルリタマムシ亜科)を多く見ることができます。本種の幼虫はエノキ、ケヤキ、サクラなどの朽ち木に食べて育ち、成虫は一般にエノキなどの樹上を飛び回る姿を見ることが多いです。この森ではアキニレの森の周辺を飛んでいる姿をよく目撃します。

写真10は、地上近くで交尾中の個体をとらえたものです。

写真10  交尾中のタマムシ Chrysochroa fulgidissima(2022年8月6日)

甲中類のなかでは、何と言ってもクワガタムシ科(Lucanidae)の仲間の存在感が大きいです。本ブログでも何度か紹介していますが(→クワガタムシ発生ヤナギ類に群がる昆虫アキニレとクワガタムシ)、ゆるむしの森にはたくさんのクワガタムシがいます。種として生息を確認しているのはノコギリクワガタ写真11–13)、コクワガタ写真14)、ヒラタクワガタの3種です。

写真11  マルバヤナギ上のノコギリクワガタ Prosopocoilus inclinatus の♂(2022年6月23日)

↑写真12  カワヤナギ上で交尾中のノコギリクワガタ(左)(2021年5月31日)およびアキニレ上のノコギリクワガタ♂(右、右下にコクワガタが見える)(2021年6月18日)

↑写真13  マルバヤナギ上のノコギリクワガタの♀(2022年7月24日)

写真14  マルバヤナギ上のコクワガタ Dorcus rectus の♂、サビキコリ Agrypnus binodulus、ヨツボシオオキスイ(左)、およびコクワガタの♂と♀(右)(2022年5月28日)

クワガタムシと並んで甲虫の王者とも言えるのがカブトムシコガネムシ科、カブトムシ亜科)です。この森でもたくさんいるはずですが、不思議なことに成虫の姿をまだほとんど見たことがありません。一方で、遺骸は頻繁に見ることができます(写真15)。

↑写真15  カブトムシの遺骸(2022年7月30日)

             

カテゴリー:生き物観察