ゆるむしの森プロジェクト

休耕田に自然発生した森林緑地「ゆるむしの森」の観察、調査記録、管理・運営活動を中心とする情報ブログ

タテハチョウ科ータテハチョウ亜科・コムラサキ亜科

2023.10.13更新  ゆるむしの森のチョウ

「ゆるむしの森」には、沢山のタテハチョウ科 Nymphalidae の仲間が生息しています。これまで生息を確認しているのは19種です。ここではタテハチョウ亜科5種、コムラサキ亜科3種の写真を載せます。目撃できる個体数(目撃頻度)については:多い +++ 、中程度 ++、少ない +、稀 (+) で表しています。

                   

タテハチョウ亜科 Nymphalinae

キタテハ Polygonia c-aureum (Nymphalis c-aureum) 英:Asian Comma

●前翅長:25–35 mm  ●時期:3–4月(越冬型)、5–11月(年4回発生) ●越冬態:成虫  ●目撃頻度:+++  ●幼虫の食草:アサ、カナムグラ、カラハナソウなどのアサ科草本、アカソ、コソバイラクサイラクサ科)

備考:ゆるむしの森では最も個体数が多いタテハチョウの一つです。一年中見られる種ですが、特にカナムグラの繁殖に伴って秋に大発生します。夏型の黄色に比べて秋型は朱色が強くなります。

                   

アカタテハ  Vanessa indica  英:Indian Red Admiral

●前翅長:30–35 mm  ●時期:3–4月(越冬型)、5–10月(年3回発生)  ●越冬態:成虫、幼虫  ●目撃頻度:(+)  ●幼虫の食草:カラムシ、ヤブマオなどのイラクサ科草本ケヤキ、ハルニレ(ニレ科樹木)

備考:普通種ですが、この森や周囲エリアでは珍しい種で、目撃は限られます。食草であるカラムシやヤブマオの少なさに帰因していると考えられます。

                   

ヒメアカタテハ  Vanessa cardui  英:Painted Lady

●前翅長:26–33 mm  ●時期:4–11月  ●越冬態:不定  ●目撃頻度:+  ●幼虫の食草:キク科(ハハコグサヨモギなど)、イラクサ科(イラクサ、カラムシなど)

備考:本種もアカタテハ同様普通種ですが、目撃頻度は低いです。幼虫の食草のヨモギなどの少なさが原因だと思われます。

                   

ルリタテハ  Kaniska canace  英:Blue Admiral

●前翅長:27–43 mm  ●時期:3–4月(越冬型)、5–10月 (年3回発生) ●越冬態:成虫  ●目撃頻度:+  ●幼虫の食草:サルトリイバラ科(サルトリイバラ、シオデ)、ユリ科ヤマユリホトトギスなど)

備考:タテハチョウ亜科のなかでは、キタテハに次いでよく目撃できます。森内のサルトリイバラなどに幼虫の発生も見られます。

                   

ヒオドシチョウ  Nymphalis xanrhomelas 英:Large Tortoiseshell (yellow-legged tortoiseshell)

●前翅長:27–43 mm  ●時期:3–4月(越冬型)、6月、9–11月 (年1回発生) ●越冬態:成虫  ●目撃頻度:(+)  ●埼玉県 (2018) 絶滅危惧II類(VU)[1●幼虫の食草:エノキ、アキニレ、ヤナギ類

備考:全国的に減少が著しい種で、埼玉県内でも生息地は限られます。ゆるむしの森でも目撃頻度は低いですが、春には越冬した個体が比較的多く見られます。

                   

コムラサキ亜科 Apaturinae

コムラサキ  Apatura metis  英:Freyer's Purple Emperor

●前翅長:30–42 mm  ●時期:5–10月(年3回発生) ●越冬態:幼虫  ●目撃頻度:++  幼虫の食草:カワナヤギ、シダレヤナギ、マルバヤナギなどのヤナギ科の樹木

備考:埼玉県や周辺の地域でも減少している種で、ヤナギ類の伐採とともに次第に分布が局地的になってきています。ゆるむしの森ではヤナギ類が多く、幼虫も成虫も豊富に見ることができます。

                   

ゴマダラチョウ  Hestina japonica (Hestina persimilis japonica) 英:Siren Butterfly

●前翅長:34–48 mm  ●時期:5–9月(年3回発生)●越冬態:幼虫  ●目撃頻度:+  幼虫の食草:エノキ、エゾエノキ(アサ科樹木)

備考:エノキを食樹とする普通種ですが、やはり全国的に個体数が年々減る傾向にあるようです。この森では、コムラサキや下記のアカボシゴマダラと比べると、目撃できる回数は少ないです。

                   

アカボシゴマダラ  Hestina assimilis assimilis   英:Red Ring Skirt

●前翅長:38–52 mm  ●時期:4–11月(年3–4回発生)●越冬態:幼虫  ●目撃頻度:+++  特定外来生物  幼虫の食草:エノキ、エゾエノキ、クワノハエノキ(アサ科樹木)

備考:この森ではキタテハと並んで最も多く見られるタテハチョウです。関東中心に生息する外来種ですが、年々生息域を拡大しています。たとえば、西の地域では愛知県で毎年越冬幼虫を確認しています。幼虫の宿木が同じであるゴマダラチョウとの競合が懸念されていますが、ゆるむしの森を含めて調べた範囲(埼玉、千葉、東京、愛知)では、本種の幼虫はもっぱらエノキ低幼木に、ゴマダラチョウは高木・亜高木に幼虫が見られ、棲み分けしている印象です。

                   

引用文献

[1] 埼玉県レッドデータブック動物編2018  (6) 昆虫類 ② チョウ目チョウ類: https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/129694/16reddatabook-chourui.pdf

                   

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