カテゴリー:チョウの食草と食樹
ハリエンジュ Robinia pseudoacacia(マメ科ハリエンジュ属) 🟠食樹とする(葉や蕾を食べる)幼虫のチョウ種:モンキチョウ、キタキチョウ(シロチョウ科)、トラフシジミ、ルリシジミ(シジミチョウ科)
マメ科ハリエンジュ属の落葉高木です。高さ 15–20 m になります。和名の由来ですが、別種であるエンジュに似た葉をもち、枝の付け根に針棘があることからこの名があります。別名ニセアカシアと呼ばれますが、これは、アカシアには似ているがアカシア属ではない、というのが理由です。植物学上はハリエンジュの名称が使われます。
樹皮は淡褐色、灰褐色で、縦に深い割れ目が入ります。葉はきょ歯なし、楕円形、長さ 12–25 cm、幅 4–7 m の奇数羽状複葉で、互生します。小葉は 3–11 対でほぼ対生です。見るからにマメ科という葉並びで、同定は容易です。花期は 5–6 月で、葉腋から長さ 10-15 cm の総状花序を下垂した、白い蝶形花を多数つけます。
北米中東部原産ですが、今では北海道、本州、四国、九州、沖縄の全国で植栽としても利用されています。しかし、アレロパシー作用を有し、在来樹種と競合しながら駆逐する性質があります。そのため、日本の侵略的外来種ワースト 100 として、また、外来生物法で要注意外来生物に指定されています。非常に繁殖力が強く、ゆるむしの森でもどんどん広がっていくので、適宜伐採管理を行なっています。
ハリエンジュは、厄介な外来種ではありますが、上記のように複数のチョウ種の幼虫の食草になっていて、その意味では貴重です。特にルリシジミの産卵はこの樹木でよく見られ、この森での主要な発生源の一つになっています。さらに、稀ではありますが、トラフシジミがこの樹木の周辺で見られることから、本種の発生を支えている可能性があります。
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