カテゴリー:生き物観察
「ゆるむしの森」ではさまざまな種類の甲虫(コウチュウ目)が生息しています。ここでは割と頻繁に樹上で目撃する種類を中心に紹介したいと思います。
まずはカミキリムシ科(Cerambycidae)の仲間です。写真1はミヤマカミキリ(カミキリ亜科)です。夜間、クヌギ、コナラなどの樹液に集まる習性がありますが、この森ではアキニレの木でよく見かけます。
↑写真1 アキニレ上のミヤマカミキリ Neocerambyx radde(2022年7月7日)
ミヤマカミキリとともによく目撃するのがゴマダラカミキリです(フトカミキリ亜科)(写真2)。最も普通なカミキリ種の一つです。
↑写真2 アキニレを駆け上るゴマダラカミキリ Anoplophora malasiaca(2022年7月7日)
上記2種ほどではないですが、ときどき見かけるのがキボシカミキリです(フトカミキリ亜科)(写真3)。クワ、イチジク、ミカンなどの食害虫として知られます。ゆるむしの森ではもっぱらクワの木で目撃することができます。
↑写真3 エノキの葉上のキボシカミキリ Psacothea hilaris(2022年8月6日)
次はコガネムシ科(Scarabaeidae)の仲間です。写真4はコガネムシ(スジコガネ亜科)、写真5はアオドウガネ(スジコガネ亜科)で、この森で沢山見ることができます。
↑写真4 セイタカアワダチソウにとまるコガネムシ Mimela splendens(2022年6月7日)
↑写真5 エノキの葉上にとまるアオドウガネ Anomala albopilosa(2022年9月6日)
写真6はカナブン(ハナムグリ亜科)です。ヤナギ類やアキニレの樹液を吸う姿が頻繁に見られます。
↑写真6 マルバヤナギ上のカナブン Pseudotorynorhina japonica(2022年8月6日)
カナブンとともによく見られるのがシロテンハナムグリ(ハナムグリ亜科)です(写真7)。こちらもヤナギ類やアキニレの木によくいます。
↑写真7 アキニレにとまるシロテンハナムグリ Protaetia orientalis(2022年6月1日)
写真8は、アキニレの樹液に集まったカナブンとシロテンハナムグリです。
↑写真8 アキニレの樹液を吸うカナブンとシラホシハナムグリ(2022年9月6日)
上記2種と比べるとやや少ないように思われますが、コアオハナムグリ(ハナムグリ亜科)もときどき見かけます(写真9)。
↑写真9 アキニレ上のコアオハナムグリ Gametis jucunda(2022年5月12日)
タマムシ科(Buprestidae)の中では、やはりタマムシ(ルリタマムシ亜科)を多く見ることができます。本種の幼虫はエノキ、ケヤキ、サクラなどの朽ち木に食べて育ち、成虫は一般にエノキなどの樹上を飛び回る姿を見ることが多いです。この森ではアキニレの森の周辺を飛んでいる姿をよく目撃します。
写真10は、地上近くで交尾中の個体をとらえたものです。
↑写真10 交尾中のタマムシ Chrysochroa fulgidissima(2022年8月6日)
甲中類のなかでは、何と言ってもクワガタムシ科(Lucanidae)の仲間の存在感が大きいです。本ブログでも何度か紹介していますが(→クワガタムシ発生、ヤナギ類に群がる昆虫、アキニレとクワガタムシ)、ゆるむしの森にはたくさんのクワガタムシがいます。種として生息を確認しているのはノコギリクワガタ(写真11–13)、コクワガタ(写真14)、ヒラタクワガタの3種です。
↑写真11 マルバヤナギ上のノコギリクワガタ Prosopocoilus inclinatus の♂(2022年6月23日)
↑写真12 カワヤナギ上で交尾中のノコギリクワガタ(左)(2021年5月31日)およびアキニレ上のノコギリクワガタ♂(右、右下にコクワガタが見える)(2021年6月18日)
↑写真13 マルバヤナギ上のノコギリクワガタの♀(2022年7月24日)
↑写真14 マルバヤナギ上のコクワガタ Dorcus rectus の♂、サビキコリ Agrypnus binodulus、ヨツボシオオキスイ(左)、およびコクワガタの♂と♀(右)(2022年5月28日)
クワガタムシと並んで甲虫の王者とも言えるのがカブトムシ(コガネムシ科、カブトムシ亜科)です。この森でもたくさんいるはずですが、不思議なことに成虫の姿をまだほとんど見たことがありません。一方で、遺骸は頻繁に見ることができます(写真15)。
↑写真15 カブトムシの遺骸(2022年7月30日)
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