ゆるむしの森プロジェクト

休耕田に自然発生した森林緑地「ゆるむしの森」の観察、調査記録、管理・運営活動を中心とする情報ブログ

セセリチョウ科

2024.06.29更新  ゆるむしの森のチョウ

ゆるむしの森に生息するセセリチョウ科 Hesperiidae のチョウを紹介します。これまで8種の生息を確認しています。目撃できる個体数(目撃頻度)については:多い +++ 、中程度 ++、少ない +、稀 (+) で表しています。

                   

チャマダラセセリ亜科 Pyrginae

ダイミョウセセリ Daimio tethys 

●前翅長:16–22 mm  ●時期:4–10 月  ●越冬態:幼虫  ●目撃頻度:●幼虫の食草:ヤマノイモ科(ヤマノイモ、ツクネイモ、オニドコロ、エドドコロ、ニガカシュウなど)

備考:春(4 月下旬)から秋まで見られる普通種ですが、目撃頻度はやや低いです。5 月に見られるセセリチョウの代表と言えば本種です。

                   

セセリチョウ亜科 Hesperiinae

イチモンジセセリ Parnara guttata

●前翅長:15–21 mm  ●時期:6–11 月  ●越冬態:幼虫  ●目撃頻度:++  ●幼虫の食草:イネ科(イネ、エノコログサジュズダマススキ、チガヤメダケなど)、カヤツリグサ科(シラスゲ、ミヤマシラスゲ)

備考:最も個体数が多いセセリチョウ種の一つですが、春には見られず、5 月の終わり頃から姿を現します。秋が最盛期です。

                   

チャバネセセリ Pelopidas mathias

●前翅長:14–21 mm  ●時期:6–11 月  ●越冬態:幼虫  ●目撃頻度:++  幼虫の食草:イネ科(イネ、ススキ、ジュズダマチガヤメダケ、メヒシバなど)、カヤツリグサ科(ハマスゲ、ヒメクグ)

備考:イチモンジセセリと同様に普通種ですが、春には見られず、6 月から現れるようになります。秋には大量に発生します。

                   

オオチャバネセセリ Zinaida pellucida

●前翅長:15–21 mm  ●時期:6–11 月  ●越冬態:幼虫  ●目撃頻度:+●埼玉県 (2018) 准絶滅危惧2型(NT2)[1●幼虫の食草:イネ科(イネ、エノコログサ、クマザサ、ススキ、チガヤ、ミヤコザサ、メダケなど)

備考:全国的に個体数を減らし続けているセセリチョウ種で、埼玉県でも准絶滅危惧 2 型(NT2)に指定されています。この森では、6 月から発生し、イチモンジセセリ、チャバネセセリと同様に夏から秋にかけて比較的多く見られます。6–7 月にはむしろ本種が最も個体数が多くなります。

                   

コチャバネセセリ Praethoressa variaThoressa varia

●前翅長:14–18 mm  ●時期:4–9 月  ●越冬態:幼虫  ●目撃頻度:+  ●埼玉県 (2018) 准絶滅危惧2型(NT2)[1●幼虫の食草:クマザサ、ミヤコザサ、メダケなどササ・タケ類

備考:個体数を減らしているセセリチョウ種で、埼玉県では準絶滅危惧種(NT2)に指定されています。ゆるむしの森でも年を追って目撃する回数が減っています。セセリチョウの仲間では比較的早い時期(4 月)から発生するので、その時期には発見しやすいですが、目撃することは稀です。

                   

ミヤマチャバネセセリ Pelopidas jansonis

●前翅長:16–21 mm  ●時期:4–9 月  ●越冬態:蛹  ●目撃頻度:+  ●幼虫の食草:イネ科(ススキ、オギチガヤ、ヨシ、トダシバなど)

備考:他のセセリチョウ種より、早く発生し、4 月から初秋に比較的よく見られます。全国的に希少種になりつつある種で、埼玉県内での分布も局地的で個体数は多くないようです。この森でも目撃回数は少なめです。

                   

キマダラセセリ Potanthus flavus

●前翅長:13–17 mm  ●時期:5–10 月  ●越冬態:幼虫  ●目撃頻度:●幼虫の食草:イネ科(アシボソ、イヌビエ、クマザサ、チヂミザサ、ススキ、メヒシバ、メダケなど)

備考:普通種ですが、どういうわけかこの森では目撃することは少なく、特に夏の始まりの時期まではほとんど見かけません。8 月に入って比較的よく目撃できます。

                   

チョウセンキボシセセリ亜科 Heteropterinae

ギンイチモンジセセリ Leptalina unicolor

●前翅長:15–21 mm  ●時期:4–5 月、7–8 月 ●越冬態:幼虫  ●目撃頻度:+  環境省 (2020) 準絶滅危惧種(NT)、埼玉県 (2018) 准絶滅危惧2型(NT2)[1●幼虫の食草:イネ科(ススキ、オギチガヤ、ヨシなど)

備考:ミヤマチャバネセセリ同様、時期的には早く発生し、4 月に最もよく見られます。環境省 (2020) 準絶滅危惧種(NT)、埼玉県 (2018) 准絶滅危惧2型(NT2)の本種ですが、この森では割と多く観察されます。しかし、最近では、夏(7-8 月)に見ることはきわめて稀になりました。他のセセリチョウの多くが猛スピードで飛ぶのとは対照的に、本種は草地をヒラヒラと弱く飛ぶ姿が特徴的です。

                   

引用文献

[1] 埼玉県レッドデータブック動物編2018  (6) 昆虫類 ② チョウ目チョウ類: https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/129694/16reddatabook-chourui.pdf

                   

カテゴリー:ゆるむしの森のチョウ