2023.11.23更新 ゆるむしの森のチョウ
「ゆるむしの森」に生息するシジミチョウ科 Lycaenidaeのチョウは、これまで8種を確認しています。ここでは、撮影できた8種の写真を載せます。目撃できる個体数(目撃頻度)については:多い +++ 、中程度 ++、少ない +、稀 (+) で表しています。
ウラギンシジミ亜科 Curetinae
ウラギンシジミ Curetis acuta
●前翅長:20-27 mm ●時期:3–4月(越冬型)、6–11月 ●越冬態:成虫 ●目撃頻度:+ ●幼虫の食草:マメ科(クズ、フジなど)の花や蕾
備考:周年見られるシジミチョウ種ですが、目撃頻度はやや少ないです。成虫で越冬するので冬の暖かい日にも見かけることがあります。
シジミチョウ亜科 Lycaeninae
●前翅長:14-19 mm ●時期:3–11月 ●越冬態:幼虫 ●目撃頻度:++ ●幼虫の食草:スイバ、ギシギシ、ノダイオウなどのタデ科植物
最も普通に見られるシジミチョウ種の一つですが、下に示すツバメシジミやヤマトシジミと比べると見かける頻度は少ないです。
ムラサキシジミ Arhopala japonica
●前翅長:16-22 mm ●時期:3–4月(越冬型)、6–10月 ●越冬態:成虫 ●目撃頻度:+ ●幼虫の食草:アラカシ、シラカシ、イチイガシ、スダジイなどのブナ科樹木
備考:普通種ですが、他のシジミチョウに比べると、目撃できる機会は少ないです。森内における幼虫の食樹であるアラカシやシラカシの少なさに帰因すると考えられますが、隣接する神社境内にはシラカシの高木があり、より多く観察することができます。
●前翅長:18-23 mm ●時期:6–7月 ●越冬態:卵 ●目撃頻度:+ ●埼玉県 (2018) 準絶滅危惧1型(NT1)[1] ●幼虫の食草:ハンノキ、ヤマハンノキ、ミヤマハンノキなどのカバノキ科落葉樹
備考:埼玉県の県蝶に指定されている種で、この森でこれまで発生を確認している唯一のゼフィルス種です。発生時期である6月には割と見る機会が多いです。
●前翅長:13-19 mm ●時期:3–10月 ●越冬態:蛹 ●目撃頻度:+ ●幼虫の食草:マメ科(クズ、シロツメクサ、ミヤコグサ、ハリエンジュなど)、バラ科(スモモ、ナナカマド、ノイバラなど)、タデ科(イタドリ、ギシギシ、スイバなど)、ミカン科(キハダ)などの花
備考:普通種ですが、下記のツバメシジミやヤマトシジミの類似種と比べると、個体数は少ないです。ツバメシジミやヤマトシジミが地面近くや草本の上を飛び交うのに対し、本種は森の中の陽当たりのよい樹木の周りを飛ぶことが多く、地面で吸水する姿もよく見かけます。
●前翅長:10-18 mm ●時期:4–11月 ●越冬態:幼虫 ●目撃頻度:++ ●幼虫の食草:アカツメクサ、カラスノエンドウ、クズ、シロツメクサ、フジ、ミヤコグサなど、多くのマメ科植物
備考:この森では、最も個体数が多いシジミチョウの一つです。地面近くや草本の上をチラチラと飛んでいますが、止まっているところを見ないとヤマトシジミと区別しにくいです。
ウラナミシジミ Lampides boeticus
●前翅長:13-19 mm ●時期:8–11月 ●越冬態:不定 ●目撃頻度:+++ ●幼虫の食草:アズキ、エンドウ、カラスノエンドウ、クズ、ダイズ、ミヤコグサ、ラッカセイなど、多くのマメ科植物
備考:夏から関東に向けて北上化し、秋に大発生しますが、冬越しはできず、翌年また北上化を繰り返すというシジミチョウです。地球温暖化とともに見かける時期が早くなっているような気がします。
●前翅長:10-16 mm ●時期:3–11月 ●越冬態:幼虫 ●目撃頻度:+++ ●幼虫の食草:カタバミ科植物(カタバミ、ウスアカカタバミ、ムラサキカタバミなど)
備考:最も普通のシジミチョウですが、春の時期にはツバメシジミよりも個体数がやや少ないです。
上記8種の他に、トラフシジミとムラサキツバメ(下の写真)を年複数回目撃しています(おそらく生息か?)。
↓ムラサキツバメ Arhopala bazalus
そのほかにウラナミアカシジミ、ミズイロオナガシジミ、ゴイシシジミを目撃しており、生息しているかどうかを調査中です。
引用文献
[1] 埼玉県レッドデータブック動物編2018 (6) 昆虫類 ② チョウ目チョウ類: https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/129694/16reddatabook-chourui.pdf
カテゴリー:ゆるむしの森のチョウ