2024.09.10更新 ゆるむしの森のチョウ
「ゆるむしの森」には、イチモンジチョウ亜科のチョウ3種が生息しています。ドクチョウ亜科のチョウは1種を確認しています(ほかに偶発的飛来の可能性のある2種)。目撃できる個体数(目撃頻度)については:多い +++ 、中程度 ++、少ない +、稀 (+) で表しています。
イチモンジチョウ亜科 Limenitidinae
イチモンジチョウ Limenitis camilla
●前翅長:25–36 mm ●時期:5–10 月 ●越冬態:幼虫 ●目撃頻度:+ ●幼虫の食草:スイカズラ、ウグイスカズラ、タニウツギ、ハコネウツギ、ヤブウツギなどのスイカズラ科植物
備考:イチモンジチョウ亜科のなかでは、全国的にコミスジと並んで普通に見られる種ですが、ゆるむしの森での目撃頻度は下記のアサマイチモンジより低いです。飛んでいる時には、アサマイチモンジとの識別は困難で、同定には止まっている状態で前翅の白紋をよく観察する必要があります。
アサマイチモンジ Limenitis glorifica
●前翅長:28–38 mm ●時期:5–10 月 ●越冬態:幼虫 ●目撃頻度:++ ●埼玉県 (2018) 准絶滅危惧2型(NT2)[1] ●幼虫の食草:スイカズラ、タニウツギ、ハコネウツギ、ヤブウツギなどのスイカズラ科植物
備考:日本では本州にしかいない種で、埼玉県内の分布も局地的ですが、分布地での個体数は割と多いです。この森でもイチモンジチョウよりも多く見られます。イチモンジチョウ同様、スイカズラが生えている場所でよく見られます。
●前翅長:24–30 mm ●時期:4–10月 ●越冬態:幼虫 ●目撃頻度:++ ●幼虫の食草:クズ、ハギ類、ハリエンジュ、ムラサキツメクサ(アカツメクサ)、ミヤコグサ、フジなどのマメ科植物
備考:イチモンジチョウ亜科のなかでは、最も普通の種です。本亜科のなかでは、最も早く 4 月から発生します。
ヒョウモンチョウ亜科 Heliconiinae
●前翅長:28–38 mm ●時期:4–11 月 ●越冬態:幼虫 ●目撃頻度:++ ●幼虫の食草:野生のスミレ類(スミレ、シロバナスミレ、タチツボスミレ、ヒメスミレなど)のほか、スミレ属の園芸種(パンジーやビオラなど)
備考:南方系のチョウであり、数十年前には関東にはいませんでしたが、年を追って北上化し、分布域を広げています。今では最も普通のヒョウモンチョウの種になりました。地球温暖化の影響に加え、ビオラなどの園芸植物の広がりも分布拡大に拍車をかけていると考えられます。
ミドリヒョウモン Argynnis paphia
これまで 2021 年の秋、2022 年の秋にそれぞれ一回ずつ目撃しています。埼玉県東部ではほとんど見られない種ですが、生息の可能性もあります。
2022 年 9 月、ゆるむしの森の近くの樹木で一回のみ目撃(偶発的飛来か、生息しているのかを調査中)
引用文献
[1] 埼玉県レッドデータブック動物編2018 (6) 昆虫類 ② チョウ目チョウ類: https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/129694/16reddatabook-chourui.pdf
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