ゆるむしの森プロジェクト

休耕田に自然発生した森林緑地「ゆるむしの森」の観察、チョウ類を中心とする調査記録、管理・運営活動を中心とする情報ブログです

カラスノエンドウ(ヤハズエンドウ)

カテゴリー:チョウの食草と食樹

       

カラスノエンドウ Vicia sativa subsp. nigraマメ科ソラマメ属) 🟠食草とする幼虫のチョウ種:モンキチョウシロチョウ科)、ツバメシジミ、ルリシジミウラナミシジミシジミチョウ科

つる性のマメ科一年草あるいは越年草です。学術的にはヤハズエンドウと呼ばれますが、カラスノエンドウの名が一般的には知られています。本州以南に広く分布し、山沿いの野原、田畑の畦道、河原、公園、庭先などのいたるところに普通に生えてきます。茎には巻きひげがあり、近くのものにやたらと絡みつきながら成長し、直立で 1 m くらいになります。茎には全体に毛があり、偶数羽状複葉の葉が互生します。小葉は対生で、楕円形の先端がくぼんでいます(ヤハズ [矢筈] エンドウの名の由来)。 

秋に発芽し、越年して春先に旺盛に生えてきます。ゆるむしの森でも、春一番に一面を緑にするのがカラスノエンドウです。花期は 3〜5 月で濃いピンク色、紅色の可憐な花を咲かせます。

カラスノエンドウは春に最も繁殖する植物の一つで、この時期のモンキチョウやツバメシジミなどのチョウの発生を支えています。南方の地域では、ルリシジミやウラナミシジミカラスノエンドウを食べるようですが、関東地域ではこれらのチョウ種の発生とこの植物の繁殖時期はズレます。

春にはモンシロチョウ、キタキチョウ、ツマキチョウなどの成虫が花を訪れて吸蜜する姿もよく見られます。また、花の付け根には花外蜜腺とよばれる黒い点があり、ここから蜜を出してアブラムシやアリを呼び寄せる役目をしています。そして、アブラムシを食べるテントウムシの幼虫が集まってきます。結果として、カラスノエンドウは、作物の害虫として知られるアブラムシを集めて退治する役割を担っていると言うこともできます。

カラスノエンドウは、他のマメ科植物と同様に、根に根粒菌と呼ばれる細菌を共生させています。根粒菌は植物にとって大切な栄養源である窒素を空中から固定させて供給し、植物は根粒菌に糖を栄養として与えるという共生関係が成り立っています。このような生物学的窒素固定は、植物とともに土壌にも窒素を供給することになるので、マメ科植物が繁茂すると肥沃な土壌ができます。

以前の農業では、畦道に生えたカラスノエンドウレンゲソウなどのマメ科植物は抜かずに刈り取って土に漉き込み、窒素源が豊富な緑肥として活用していました。しかし、最近では、雑草として扱われ、刈り取って捨ててしまうことが多いようです。挙句には、殺草剤(いわゆる除草剤 [グリホサート系])を撒いて、枯らしてしまう光景もよく見かけます。

       

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