カテゴリー:チョウの食草と食樹
ムラサキツメクサ Trifolium pratense(マメ科シャクジソウ属) 🟠食草とする幼虫のチョウ種:モンキチョウ(シロチョウ科)、コミスジ(タテハチョウ科)、ツバメシジミ(シジミチョウ科)
マメ科の多年草で、別名アカツメクサとも称されます。一般には、赤クローバー、レッドクローバーとも呼ばれることもあります。「ツメクサ」の名は、昔ヨーロッパから輸入されたガラス製品などの詰め物(緩衝材)に使われていたのがその由来とされています。 茎は直立して高さ 20–50 cm 程度になり、初夏に紅色の丸い花を咲かせます。日本では牧草や緑肥として利用されていましたが、今では全国に野生化しています。ゆるむしの森では、周囲の農道に沿って群生します。
小葉はふつう 3 個で、長さ 2-5 cm の楕円形をしています。葉の中心に V 字形の白い斑紋があるものが多いです。花期は 5–9 月で、長さ 1–1.5 cm の紅色の花が球状に集まって咲きます。
マメ科植物を好むモンキチョウ、コミスジ、ツバメシジミの幼虫の食草になり、特にツバメシジミの産卵シーンはよく見ることができます。また、多食性のガ(ナシケンモンなど)の幼虫の食草にもなります。花には吸蜜のために、シロチョウ科、シジミチョウ科、セセリチョウ科のチョウがよく訪れます。
ムラサキツメクサにはマルカメムシが集まっているシーンをしばしば目撃します。マルカメムシは、ダイズなど豆類の食害虫と知られているカメムシの仲間です。おそらく、ムラサキツメクサも産卵の対象としていると思われます。
興味深いことに、マルカメムシの豆類を食べる性質は、昆虫自身の遺伝子ではなく、腸内の共生細菌によって決まっているようです。メス成虫は、食草に産卵するときに、共生細菌を含んだ分泌物をいっしょに産みつけますが、卵から孵化した幼虫はその分泌物に口吻を差し込んで、共生細菌を獲得するとされています。
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