ゆるむしの森プロジェクト

休耕田に自然発生した森林緑地「ゆるむしの森」の観察、管理・運営活動を中心とする情報ブログ

メダケの役割を考慮した管理

カテゴリー:日記・その他 「ゆるむしの森」にはメダケの林があります。メダケは繁殖力が強く、地下茎を通してどんどん周囲に拡大していきます。ちょっと管理を怠ると、森を侵食し、周囲の農道にもチニョキニョキと出てきますので、適宜伐採管理が必要です(…

ゆるむしの森の植物一覧

ゆるむしの森で見られる植物(樹木、草本)を以下に一覧します。現在まで、115種を確認しています。

ウマノスズクサ

カテゴリー:チョウの食草と食樹 ウマノスズクサ Aristolochia debilis(ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属) ●食草とする幼虫のチョウ種:ジャコウアゲハ(アゲハチョウ科) つる性の多年草で、川土手、道ばた、林縁などいたるところに生えます。茎は長さ 2…

メダケ

カテゴリー:チョウの食草と食樹 メダケ Pleioblastus simonii(イネ科メダケ属) ●食草とする幼虫のチョウ種:タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科のヒメジャノメ、ヒカゲチョウ、クロヒカゲ、サトキマダラヒカゲ、クロコノマチョウ、セセリチョウ科のイチモ…

シラカシ

カテゴリー:チョウの食草と食樹 シラカシ Quercus myrsinifolia(ブナ科コナラ属) ●食樹とする(葉を食べる)幼虫のチョウ種:ムラサキシジミ(シジミチョウ科) 常緑高木で、高さ 20 m ほどになります。いわゆるカシ類の一種で、秋にドングリが生ります。…

チヂミザサ

カテゴリー:チョウの食草と食樹 チヂミザサ Oplismenus undulatifolius(イネ科チヂミザサ属) ●食草とする幼虫のチョウ種:タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科のヒメジャノメ、コジャノメ、ヒメウラナミジャノメ、クロコノマチョウ、セセリチョウ科のキマダ…

アキニレ

カテゴリー:チョウの食草と食樹 アキニレ Ulmus parvifolia(ニレ科ニレ属) ●食樹とする(葉を食べる)幼虫のチョウ種:ヒオドシチョウ(タテハチョウ科タテハチョウ亜科) 落葉高木で、樹高 10~15 m になります。樹皮は灰色~灰褐色で、不規則な鱗片状…

ハンノキ

カテゴリー:チョウの食草と食樹 ハンノキ Alnus japonica(カバノキ科ハンノキ属) ●食樹とする(葉を食べる)幼虫のチョウ種:ミドリシジミ(シジミチョウ科) 落葉高木で、高さ10~20mになります。湿気の多い低地,湿地に生える木で、水田の周囲や水田耕…

ヤナギ類

カテゴリー:チョウの食草と食樹 カワヤナギ Salix gilgiana(ヤナギ科ヤナギ属) ●食樹とする(葉を食べる)幼虫のチョウ種:コムラサキ(タテハチョウ科コムラサキ亜科) 落葉小高木で、高さ 3〜10 m になります。ゆるむしの森では最も多いヤナギで、コム…

チョウの食草と食樹

ゆるむしの森に生息する、あるいはこの森と周辺で目撃できたチョウ種を中心に、幼虫の食草、食樹として発生・生育を確認できたものをこのページに記します。樹木と草本の和名のアイウエオ順に並べてあります。幼虫のチョウ種については、埼玉県東部に生息が…

秋はキチョウの最盛期

カテゴリー:生き物観察 キチョウ(キタキチョウ)Eurema mandarina は、モンシロチョウと並んで、シロチョウ科のなかで最も普通に見られる種です。発生時期は概ね3月から11月までですが、成虫で越冬するので、ほぼ一年中見ることができます。特に秋は個体数…

9月のチョウ-2023

カテゴリー:生き物観察 今年は10月に入って、やっと秋らしい気温になってきました。この記事では、まだまだ暑かった9月のゆるむしの森で見られたチョウを載せます。ジャコウアゲハとゴマダラチョウは別ページで紹介していますので、その他の代表的なものに…

「母の木 (Mother Tree)」仮説

カテゴリー:科学おもしろ話 はじめに みなさんは"Mother Tree hypothesis"(母の木仮説、母樹仮説)というのをご存知でしょうか。ドイツの森林学者ペーター・ヴォールレーベン(Peter Wohlleben)が書いた"The Hidden Life of Trees"という本 [1](下図)で…

ウマノスズクサージャコウアゲハの産卵

カテゴリー:生き物観察 「ゆるむしの森」では、いろいろなチョウの産卵行動を頻繁に目撃することができます。前のブログ記事ではゴマダラチョウの産卵を紹介しました。ここではジャコウアゲハ(写真1)の産卵を紹介します。 ↑写真1 ゆるむしの森のジャコウ…

ゴマダラチョウの産卵

9月に入り、「ゆるむしの森」周辺の田んぼでも稲刈りが始まりました。気温はまだ高いですが、秋を感じますね。 9月はコムラサキ亜科のチョウの 3 化目の羽化が盛んになる時期です。ゆるむしの森では、コムラサキ、ゴマダラチョウ、アカボシゴマダラの3種を…

8月のチョウ–2023

カテゴリー:生き物観察 今年の夏は例年と比べて暑い日が続いていますが、8月も下旬になると空や風が秋めいてきました。空の青さが秋を感じさせます。周辺の水田は稲穂が伸びて黄色になっています。9月になれば稲刈りが始まるでしょう。 このページでは、今…

イチモンジセセリとオオチャバネセセリ

ゆるむしの森では、セセリチョウの種が豊富に発生します。しかし、現場での種の識別はなかなか大変です。セセリチョウは素早く飛ぶ種が多く、翅の模様も似ているので、動いている状態での同定はまず不可能です。同定には、止まった状態で翅の裏面の白斑点の…

7月のチョウ−2023

カテゴリー:生き物観察 2023年の7月も残りわずかとなりましたが、連日猛暑が続いています。ゆるむしの森でも日中35℃を超える毎日ですが、木々の間に入れば1-2℃下がりますので、まだ過ごしやすいです。この記事では今年の7月に見られたチョウを紹介します。…

セセリチョウとジャノメチョウ

カテゴリー:生き物観察 セセリチョウ科やジャノメチョウ亜科(タテハチョウ科)のチョウは、翅が茶色中心で割と地味ですが、希少種も多いです。ゆるむしの森には、埼玉県の準絶滅危惧種 [1] も含めて多くの希少種が生息しています。これまで、セセリチョウ…

6月の虫-2023:甲虫類を中心に

カテゴリー:生き物観察 前回の記事で、「6月のチョウ」を記しましたが、ここでは、ゆるむしの森でいまよく見られるチョウ以外の昆虫を、甲虫類を中心にして紹介します。今年の6月も例年通り、常連の虫たちが沢山見られます。 まずはコガネムシです(写真1-2…

6月のチョウ–2023

カテゴリー:生き物観察 2023.06.25更新 梅雨の時期になると、晴天が少なくて、チョウ観察ができる日も少なくなります。ここでは、6月の数少ない晴れた日を選んで観察できたチョウ類を紹介します。 5月のチョウについてはタテハチョウを中心に既に記していま…

5月の蝶−タテハチョウを中心に

カテゴリー:生き物観察 チョウと言えば、一般的に夏に多く見られるというイメージですが、第1化目の成虫が集中する5月が種数、個体数とも最も多くなる月の一つです。特に5月後半になると多くのチョウ種が見られるようになります。この時期「ゆるむしの森」…

5月の白い花ースイカズラとヒメウツギ

カテゴリー:樹木と草本 今年も5月に入り緑が色濃くなってきました。「ゆるむしの森」周辺の水田では田植えが始まっています。 森内では、目立つ花は少ないですが、春からキツネアザミ、ヒメジョオン、カタバミの可憐な花が一面に咲き、今はアカツメクサの赤…

ミドリシジミの幼虫ーその2

カテゴリー:生き物観察 先週、「ゆるむしの森」でミドリシジミの幼虫の探索を行ないましたが、わずか2頭しか見つけられませんでした(→ミドリシジミの幼虫)。お目当ての"ハンノキギョーザ"(ミドリシジミの巣)が全く見当たらず、激減したのかと少し心配に…

ミドリシジミの幼虫

カテゴリー:生き物観察 今日は、チョウの発生調査、ミドリシジミの幼虫の観察、アキニレの森の観察路整備のために「ゆるむしの森」を訪れました。ゆるむしの森の遠景では、すっかり緑色になりました。 まずはミドリシジミの幼虫の観察のためにハンノキの林…

エノキ上の Hestina 幼虫

カテゴリー:生き物観察 4月はコムラサキ亜科チョウ種の越冬幼虫が脱皮を終えて羽化の準備を整える時期です。「ゆるむしの森」ではコムラサキ、ゴマダラチョウ、アカボシゴマダラの3種の幼虫が見られます。コムラサキはヤナギ類の葉を食べ、後2者の Hestina …

4月上旬の蝶ーセセリチョウを中心に

カテゴリー:生き物観察 2023.04.27更新 4月に入り、ゆるむしの森でもチョウの種類、数とも増えてきました。その中にはセセリチョウの仲間も含まれます。セセリチョウの種の多くは初夏から秋にかけて姿を見せますが、春に発生するものは比較的希少なものが多…

春の若葉ー2023

カテゴリー:樹木と草本 4月に入り、ゆるむしの森でも若葉の緑が目につくようになりました。落葉樹のいまの状況を中心に紹介します。 写真1は森のシンボルの一つであるハンノキのツインタワーで、右側の緑はメダケ林です。中央に見える観察路はカラスノエン…

植物は苦しい時に泣く

はじめに 最近、「植物が音を出して泣く」というとても興味深い論文がセル誌に掲載されました [1]。音を出すと言っても人間には聞こえない高い周波数の超音波の「響き」であり、これをマイクで拾うことに成功したというのです。この成果を早速ネイチャー誌も…

今年初めてのチョウの分布調査

カテゴリー:生き物観察 「ゆるむしの森」では、例年、3月から12月にかけてチョウの分布の定量調査を行っています。週に一度、晴天で気温13℃以上の日を選び、チョウの成虫の種類と数を記録しています。 この調査は、トランセクト調査 [1] という方法に準じて…