ゆるむしの森プロジェクト

休耕田に自然発生した森林緑地「ゆるむしの森」の観察、管理・運営活動を中心とする情報ブログ

ゆるむしの森のチョウ

ゆるむしの森とその周辺に生息するチョウの記録ページです。

2024.4.13 更新

「ゆるむしの森」が位置する埼玉県東部では、これまで58種のチョウの生息が認められています [1]。市単位では春日部市による調査があり、41種が記録されています [2]。ゆるむしの森プロジェクトでは、ゆるむしの森のコア区域(0.9 ha →ゆるむしの森活動拠点の視察])および周辺を含む約 3 ha のエリア内でチョウの分布調査を行なっていますが、その狭い範囲と水田地帯のど真ん中という環境特性にもかかわらず、現在まで46種の生息を確認しています(生息未確認の目撃種も併せると53種、表1)。ちなみに、毎年成虫が複数回見られる場合、および食草とともに幼虫・蛹を確認した場合を生息と判断しています。これらの中には、埼玉県が指定する(準)絶滅危惧7種も含まれます [3](ヘッダ写真の右4つが[準]絶滅危惧種

ここでは、ゆるむしの森を中心としたこのエリア内で撮影できたチョウを、科および亜科ごとに紹介します。

           

●アゲハチョウ科

●シロチョウ科

●タテハチョウ科ータテハチョウ亜科・コムラサキ亜科

●タテハチョウ科ーイチモンジチョウ亜科・ドクチョウ亜科

●タテハチョウ科ージャノメチョウ亜科・テングチョウ亜科

●シジミチョウ科

●セセリチョウ科

           

チョウの分布状態(目撃頻度)については表1に示します。目撃頻度については、過去3年間の4–11月における、月2回以上のトランセクト調査 [4] によって記録できた目撃回数に基づいて、+++ 多い、++ 中程度、+ 少ない、(+) まれ、で表しています。また、目撃回数が非常に少なく、偶産と思われるものおよび生息を確認中のものについては△で表しています。

表1. 「ゆるむしの森」および周辺エリアで目撃されたチョウ53種(生息を確認した46種および偶産などの7種)

分布(目撃頻度):+++, 多い; ++, 中程度; +, 少ない; (+), まれ; △, 偶産、偶発的飛来、あるいは生息確認中.  埼玉県レッドリストの種:**, 絶滅危惧II類(VU);*1, 準絶滅危惧1型(NT1); *2, 準絶滅危惧2型(NT2). §, 環境省カテゴリー準絶滅危惧(NT).

注意しなければいけないのが、全ての種が4–11月に満遍なく見られるわけではないということです。ミドリシジミのように6-7月にしか見られない種もいますし、コムラサキ亜科の種のように、羽化時期の5、7、9月に多く見られ、偶数月には減るような種もいます。表1中の分布(目撃頻度)は、4-11月の平均値なので、発生時期に目撃できる各々の種の個体数は、実際はそれよりも多い印象になります。

蝶ではありませんが、チョウ目ヤママユガ科のオオミズアオオナガミズアオも生息します。                   

引用記事・文献

[1] <埼玉県の蝶>埼玉県生息の蝶

[2] 春日部市環境政策科 みんなで取り組む生き物調査プロジェクト報告書 2019. https://www.city.kasukabe.lg.jp/material/files/group/31/houkokusyo2019.pdf

[3] 埼玉県レッドデータブック動物編2018  (6) 昆虫類 ② チョウ目チョウ類: https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/129694/16reddatabook-chourui.pdf

[4] 日本チョウ類保全協会(訳):チョウ類のトランセクト調査ーチョウのモニタリングマニュアル (Sevilleja, C. G. et al. Butterfly Transect Counts: Manual to monitor butterflies. Report VS2019.016, Butterfly Conservation Europe & De Vlinderstichting/Dutch Butterfly Conservation, Wageningen, 2019). https://butterfly-monitoring.net/sites/default/files/Pdf/Manual/Butterfly%20Transect%20Counts-Manual%20v2Japanese.pdf

                

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