カテゴリー:生き物観察
9月に入り、「ゆるむしの森」で見られるチョウ類のなかにも秋を感じさせるものが出てきました。まず、写真1はアカボシゴマダラです。8月は3化目の幼虫の変態の時期で成虫はあまり見られませんでしたが、9月に入り羽化した個体が増えています。いま森内を飛び交う姿を多数見ることができます。
↑写真1 草むらで静止するアカボシゴマダラ Hestina assimilis assimilis(2022年9月6日)
写真2右は、羽化したアカボシゴマダラの蛹痕で、あちこちのエノキに多数残っています。まだまだ蛹の段階のものも存在します(写真2左)。
↑写真2 エノキの葉にぶら下がるアカボシゴマダラの蛹(左)と蛹痕(右)(2022年9月6日)
アカボシゴマダラとほぼ同じ時期に羽化するのがゴマダラチョウです(写真3、4)。9月は3化目の成虫が多数見られます。この数年、関東地域でも個体数が少なくなっているゴマダラチョウですが、これほど成虫が見られる森も少ないと思います。
↑写真3 エノキの葉上でやすむゴマダラチョウ Hestina persimilis japonica(2022年9月16日)
↑写真4 下草でとまるゴマダラチョウ(2022年9月16日)
森のすぐ横には民家がありますが、その敷地の周囲にアカタテハが飛んでいて、地面に止まった瞬間をうまくとらえることができました(写真5)。
↑写真5 民家の周囲の路地でとまるアカタテハ Vanessa indica(2022年9月6日)
ヒョウモンチョウの仲間で確認している種は、これまでツマグロヒョウモンのみです。盛夏の間あまり見かけなくなっていましたが、9月に入り、草むらや樹間を飛んでいる姿をまた見かけるようになりました(写真6)。
↑写真6 ツマグロヒョウモン(2022年9月16日)
写真7はヒカゲチョウです。盛夏時期はほとんど姿を消していましたが、9月に入って再び見られるようになりました。
↑写真7 アキニレの幹で静止するヒカゲチョウ Lethe sicelis(2022年9月16日)
ヒカゲチョウと並んで個体数が多いジャノメチョウがヒメジャノメです(写真8)。
↑写真8 下草にとまるヒメジャノメ Mycalesis gotama(2022年9月16日)
秋を感じさせるのがウラナミシジミです(写真9、10)。南方系のチョウで、夏から北上し始め、この地域では9月晩秋にかけて多くなります。
↑写真9 草むらで静止するウラナミシジミ Lampides boeticus(2022年9月16日)
↑写真10 ウラナミシジミ(2022年9月16日)
9月になってまた一段と個体数が増えたのがセセリチョウの仲間です。この森で一番多い種がオオチャバネセセリです(写真11、12)。
↑写真10 草むらのオオチャバネセセリ Zinaida pellucida(2022年9月16日)
この森では多数見られるオオチャバネセセリですが、埼玉県では準絶滅危惧2型(NT2)に指定されています。
↑写真11 オオチャバネセセリ(2022年9月16日)
オオチャバネセセリと比べると個体数は少ないですが、キマダラセセリも夏を過ぎて多くなったような気がします(写真12)。
↑写真12 ハンノキ林の下草にとまるキマダラセセリ Potanthus flavus(2022年9月6日)
上記のほか、9月前半に見られた種は以下のようになります。
アゲハチョウ科:ナミアゲハ、アオスジアゲハ、クロアゲハ、ナガサキアゲハ
シロショウ科:モンシロチョウ、キタキチョウ
タテハチョウ科:コムラサキ、キタテハ、ヒメアカタテハ、ルリタテハ、アサマイチモンジ、イチモンジチョウ、コミスジ、サトキマダラヒカゲ、ヒメウラナミジャノメ
シジミチョウ科:ムラサキシジミ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、ツバメシジミ
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