ゆるむしの森プロジェクト

休耕田に自然発生した森林緑地「ゆるむしの森」の観察、調査記録、管理・運営活動を中心とする情報ブログ

メダケ

カテゴリー:チョウの食草と食樹

       

メダケ Pleioblastus simonii(イネ科メダケ属) ●食草とする幼虫のチョウ種:タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科ヒメジャノメ、ヒカゲチョウ、クロヒカゲ、サトキマダラヒカゲ、クロコノマチョウ、セセリチョウ科イチモンジセセリ、チャバネセセリ、オオチャバネセセリ、コチャバネセセリ、キマダラセセリ

多年生常緑イネ科の植物で、高さは 3〜8 m になります。和名は「タケ」ですが、いわゆるササの一種です。湿気を好み、河川敷や海辺の丘陵などで群落を作ります。水田地帯の民家付近に植えられていたものが野生化し、とくに休耕田で群生する場合があります。ゆるむしの森にまとまって存在するメダケ林はこの例です。

地下茎を伸ばしながらどんどん繁殖し、初夏には筍があちこちから顔を出します。十分に成長したものは、先が垂れるようになります。伐採管理を怠るとまたたく間に広がっていく厄介者ですが、真夏のメダケ林の傍や中では、周辺の気温より 数度低くなるなど冷却効果があります。ゆるむしの森では、メダケ林が森全体の保湿と冷却に貢献していると考えられます(関連記事:メダケの役割を考慮した管理)。

メダケは、シノダケ(篠竹)と呼ばれることもありますが、この名はスズダケ、アズマネザサなども含む細い竹や笹の俗称です。メダケは、上部が密に分岐し、葉が尖っていて先が垂れ下がること、桿を包む皮が斜め上方向になっていることで類似種と区別できます。

ゆるむしの森での多様なジャノメチョウ亜科、セセリチョウ科のチョウの生息は(上記ではクロヒカゲのみ生息せず)、メダケ林に支えられています。

       

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