ゆるむしの森プロジェクト

休耕田に自然発生した森林緑地「ゆるむしの森」の観察、管理・運営活動を中心とする情報ブログ

メダケの役割を考慮した管理

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「ゆるむしの森」にはメダケの林があります。メダケは繁殖力が強く、地下茎を通してどんどん周囲に拡大していきます。ちょっと管理を怠ると、森を侵食し、周囲の農道にもチニョキニョキと出てきますので、適宜伐採管理が必要です(→メダケの伐採管理)。

昨年の秋、メダケ林の 30% ほどを伐採しましたが、伐採したものはそのままにしておいたので、昨日除去管理にいきました。写真 1 は伐採した側から見たメダケ林、写真 2 は除去作業途中を示します。

↑写真1(2024年3月11日)

写真 2 の右に見えるのはアキニレの林です。

↑写真2(2024年3月11日)

人間側から考えたら厄介者のメダケですが、大きな役割も持っています。その一つは生物多様性を支える重要な植物の一つだと言うことです。この森では、埼玉県の準絶滅危惧種(NT2)オオチャバネセセリやコチャバネセセリ、その他のセセリチョウ科、およびジャノメチョウ亜科のいくつかのチョウ種の重要な食草になっています。また、ゆるむしの森は常緑樹に乏しいですが、年中常緑を保つメダケ林は、いくつかの成虫が越冬する貴重な場所になっています。

もう一つのメダケ林の重要な役割は、クールアイランド機能を持つということです。つまり、周囲よりも気温を低くする冷却効果があり、また極寒時では逆に周囲よりも暖かく保つ温度緩衝作用を持ちます。

図1は、昨年の酷暑日におけるメダケ林の冷却効果の実例を示したものです。この日、最高気温は37℃を超えていましたが、14時のメダケ林の前は33.2℃(相対湿度64%)でした。お隣のアキニレの林に移動すると若干気温は上がり、34.5℃(相対湿度56%)になりました。さらに、林を抜けて農道に出ると、日陰で37.4℃(相対湿度50%)を示しました。そこからメダケ林に戻って測ると、また33.0℃に(相対湿度63%)なりました。

図1. ゆるむしの森のメダケ林および周辺の場所による気温変化(2023年8月51日)

図2は、昨日測定した結果ですが、メダケを伐採した場所と反対側の伐採していない場所での気温を比較したものです。伐採していないメダケ林の前では気温が12.2℃、相対湿度が45%であったのに対し、伐採した場所に移動すると、気温が14.7℃と高くなり、逆に相対湿度は34%に下がりました。さらにしばらくすると、相対湿度は27%にもなりました(データ未表示)。つまり、図1の結果からもわかるように、メダケ林は、冷却効果および保湿効果があるということがわかります。

図2. メダケ林および伐採後の場所の気温と相対湿度の比較(2024年3月11日)

この森のメダケ林は、おそらく森全体を冷やし、保湿する機能を伴って森の環境に大きな影響を及ぼしていると思われます。というわけで、酷暑時での森の調査、管理作業の際には、休憩は決まってメダケ林の前でということになっています。メダケ林を通して、あるいは周囲から流れてくる風は、自然の冷風になります。この林がないと、酷暑下の作業もままならないでしょう。

このようにして考えると、メダケ林は人間の生活にも恩恵を与えるということにもなります。ゆるむしの森周辺の住居環境にも、気温、湿度など多少なりとも影響を及ぼしていると思われます。昨年秋、侵食・拡大防止のためにメダケ林を3割ほど伐採しましたが、さて、この夏どういうことになるでしょうか。

今回の伐採でこの夏のデータがとれると思われますので、メダケ林について生物多様性維持、クールアイランド機能という正の面、および侵食、景観の悪化という負の面について、これからの伐採管理をどのようにしていくべきか、ある程度の答えが出てくると思います。

          

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