ゆるむしの森プロジェクト

休耕田に自然発生した森林緑地「ゆるむしの森」の観察、調査記録、管理・運営活動を中心とする情報ブログ

チガヤ

カテゴリー:チョウの食草と食樹

       

チガヤ Imperata cylindrica(イネ科チガヤ属) 🟠食草とする幼虫のチョウ種:ヒメジャノメ、ジャノメチョウ、クロコノマチョウタテハチョウ科ジャノメチョウ亜科)、イチモンジセセリ、チャバネセセリ、オオチャバネセセリ、キマダラセセリ、ギンイチモンジセセリセセリチョウ科

単子葉植物イネ科チガヤ属の多年草です。イネに似たような葉をつけるとともに、ほとんど真っすぐに立ち上がり、高さは50〜 80 cm 程になります。葉の中心には白い葉脈が走ります。白い穂を出すのが特徴です。花期は初夏(5 - 6月)で、葉の間から花茎を伸ばして、赤褐色の花穂を出します。熟した穂は綿のようにほぐれ、種子(果実)はこの綿毛に風を受けて遠くまで飛ばされます。

日当たりのよい河原、原野、草地、野山にごく普通に見られ、道端や畑、公園、空き地など至る所に出現します。日本では、北海道から琉球列島までの全土に分布します。

チガヤの根は地下茎によってつながっており、種のみならず、地中でも広がって繁殖します。根付くと旺盛に広がっていき、刈り取ったとしても地下茎を駆除しない限りすぐに生えてきてしまいます。このため、いわゆるしつこい雑草として嫌われますが、群生したチガヤの穂が陽の光に照らされて輝き、風になびく姿はとても美しいものです。また、ジャノメチョウ亜科やセセリチョウ科のいくつかの種の食草であり、これらのチョウ種の生活を支える重要な植物です。

ゆるむしの森では南側を中心に草地が広がりますが、その中心をなすのがチガヤです。4 月中旬頃から穂が目立ち始め、5 月に入ると絹毛のような白い穂が乱立する光景が見られます。4 月にはギンイチモンジセセリが、初夏になるとセセリチョウ亜科の種がチガヤの間を飛び交う姿が見られます。この森では、メダケオギとともに多様なチョウの生息を支えているイネ科植物です。

       

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