ゆるむしの森プロジェクト

休耕田に自然発生した森林緑地「ゆるむしの森」の観察、管理・運営活動を中心とする情報ブログ

ミドリシジミの幼虫

カテゴリー:生き物観察

今日は、チョウの発生調査、ミドリシジミの幼虫の観察、アキニレの森の観察路整備のために「ゆるむしの森」を訪れました。ゆるむしの森の遠景では、すっかり緑色になりました。

まずはミドリシジミの幼虫の観察のためにハンノキの林に入りました。この林には50本ほどのハンノキ高木が生えていますが、周囲はいくつかの異なる樹木が見られます。写真1は、田植え前の稲作地側から見たハンノキの林で、カワヤナギ、マルバヤナギ、アキニレ、エノキを見ることができます。このようにしてみると、種類によって枝ぶりや葉の色、樹形が微妙に違います。ハンノキに比べるとマルバヤナギの緑が淡く見えます。この森ではマルバヤナギの葉付きが最も遅いです。

写真1  稲作地からみたハンノキの森(いくつかの異なる樹木に囲まれている)

昨年のブログ記事(→ミドリシジミ)でも紹介したように、ミドリムシの幼虫は、ハンノキの葉を合わせて閉じた「巣」をつくり、その中に入って過ごします。葉を閉じた様子がちょうどギョーザのような形になるので、割と見つけやすいです。

それを目印に、まずは昨年見つけた樹木を中心に探索してみましたが、全く見つかりません。おかしいな?と思いながら、さらに10本、20本と広げて探してみましたが、やっぱり見つかりません

冬に卵も見つけることができなかったこともあり、さすがに焦り、絶滅してしまったかな?、あるいは誰かが採集したか?とも思いつつ、念のため葉の上や枝上も探してみました。そうしたら、少し高い位置の枝上に幼虫らしきものがへばりついているのを見つけました(写真2

写真2  枝上にいたミドリシジミ Neozephyrus japonicus の幼虫

目を近づけてみると確かにミドリシジミの幼虫です(写真3)。

写真3  ミドリシジミの幼虫(写真3の個体の接写)

同じ木を入念に探してみたら、葉上にも一匹いました(写真4)。

写真4  葉上のミドリシジミの幼虫

今日見つけたのはこの2匹のみです。昨年はあれだけ見つけられたことを考えると少し心配です。目の届かない高い位置で巣ごもりしているのでしょうか。5月に入って根元の蛹の発生状況や6月の成虫の発生を見れば、ある程度判断できると思います。

ついでに、ハンノキ林の北側生えているエノキ(写真2の右端)の上のゴマダラチョウの幼虫を探してみました。一匹だけ見つけることができましたが、緑色に丸々と太っていました(写真5)。9日前(→エノキ上の Hestina 幼虫)と比べると成長ぶりが見てとれます、まもなく蛹化でしょうか。

写真5  エノキ上のゴマダラチョウ Hestina persimilis japonica の幼虫(終齢)

4月も下旬になって、目撃できるチョウの成虫の種類もぐっと増えてきました。今日観察できたチョウは、以下のように、アゲハチョウ科3種、シロチョウ科3種、タテハチョウ科6種、シジミチョウ科3種、セセリチョウ科3種の計18種でした。

観察できたチョウ種

アゲハチョウ科:アゲハチョウ、アオスジアゲハ、ナガサキアゲハ

シロチョウ科:モンシロチョウ、モンキチョウキタキチョウ

タテハチョウ科:キタテハ、ルリタテハ、ヒオドシチョウ、コミスジツマグロヒョウモン、テングチョウ

シジミチョウ科:ベニシジミ、ツバメシジミヤマトシジミ

セセリチョウ科:ダイミョウセセリ、ミヤマチャバネセセリ、ギンイチモンジセセリ

            

カテゴリー:生き物観察