カテゴリー:生き物観察
この記事では、「ゆるむしの森」およびその周辺において、今年の9月下旬から昨日(11月2日)まで見られた主なチョウを紹介します。
秋の黄色い花の野草の代表と言えば、セイタカアワダチソウ(キク科アキノキリンソウ属)とコセンダングサ(キク科センダングサ属)です。どちらも繁殖力が極めて旺盛な外来種で、環境省により生態系被害防止外来種とされてきましたが、コセンダングサは、今年になって外されました。これらの花は吸蜜食性のチョウに好まれ、ゆるむしの森でもこの時期数々のチョウが訪れています。先のブログ記事でも少し紹介しています(→秋の下草)
写真1はアオスジアゲハです。夏はヤブガラシ(ヤブカラシ)によく訪れるチョウですが、この日はコセンダングサで吸蜜していました。
↑写真1 コセンダングサで吸蜜するアオスジアゲハ Graphium sarpedon(2022年10月11日)
写真2はモンキチョウで、同じくコセンダングサで吸蜜しているところです。
↑写真2 コセンダングサで吸蜜するモンキチョウ Colias erate(2022年9月26日)
写真3はキタキチョウ(キチョウ)で、これもコセンダングサで吸蜜中です。ゆるむしの森で最も数の多いチョウの一つです。
↑写真3 コセンダングサで吸蜜するキタキチョウ)Eurema mandarina(2022年10月21日)
以下はコンセンダングサおよびセイタカアワダチソウで吸蜜するモンシロチョウです(写真4、5)。モンシロチョウはこのエリア内で最多産するシロチョウ科の仲間ですが、この時期、数ではキタキチョウに負けます。
↑写真4 コセンダングサで吸蜜するモンシロチョウ Pieris rapae(2022年10月3日)
↑写真5 セイタカアワダチソウで吸蜜するモンシロチョウ(2022年10月21日)
5月、7月、9月と数多く見られたアカボシゴマダラですが、10月に入るとほとんど見られなくなりました。写真6は翅が少し痛んだ個体です。この日一頭だけ目撃しました。同じコムラサキ亜科のコムラサキやゴマダラチョウも見られなくなりました。これらは樹液食性なので、樹液の衰えと同時に姿を消してしまいます。
↑写真6 クワの木の葉にとまるアカボシゴマダラ Hestina a. assimilis(2022年10月3日)
ゆるむしの森の近くの民家の庭先にタテハチョウ亜科のアカタテハがいました(写真7)。普通種ですが、この辺りでは個体数が少なく、見る機会は少ないです。
↑写真7 民家の垣根にとまるアカタテハ Vanessa indica(2022年10月21日)
この時期、個体数で目立つのは何と言っても秋型のキタテハです。セイタカアワダソウやコセンダングサに群がるようにいました(写真8–12)。
↑写真8 コセンダングサで吸蜜するキタテハ Polygonia c-aureum(2022年10月21日)
↑写真9 セイタカアワダチソウで吸蜜するキタテハ(2022年10月21日)
↑写真10 セイタカアワダチソウで吸蜜するキタテハ(2022年10月21日)
↑写真11 コセンダングサで吸蜜するキタテハ(2022年10月21日)
↑写真12 セイタカアワダチソウで吸蜜するキタテハ(2022年11月2日)
キタテハの大発生はこちらのツイート動画でも紹介しています。
みなさん、おはゆるむし✨️#ゆるむしの森公園 では、秋型の #キタテハ が最盛期で乱舞してます!🦋
— ゆるむしの森プロジェクト (@yurumushinomori) 2022年11月2日
凄い数です‼️
可愛いし綺麗ですね🦋
集団発生を見かけると嬉しくなってしまいます✨️
個体数の解析をしなければです‼️#ゆるむし#虫好きさんと繋がりたい#チョウ好きさんと繋がりたい#芋活 pic.twitter.com/4Krd2QvXwe
イチモンジチョウ亜科のチョウも、数は少ないですが、10月まで見ることができます。写真13はイチモンジチョウです。
↑写真13 下草にとまるイチモンジチョウ Limenitis camilla(2022年10月21日)
以下はアサマイチモンジです(写真14、15)。
↑写真14 クワの木の葉にとまるアサマイチモンジLimenitis glorifica(2022年9月26日)
↑写真15 下草にとまるアサマイチモンジLimenitis glorifica(2022年9月26日)
写真16、17は、それぞれドクチョウ亜科のツマグロヒョウモンの♀と♂です。どちらもセイタカアワダチソウで吸蜜中。北上化を続ける南方系のヒョウモンチョウで、30年前には関東地方では全く見られませんでした。
↑写真16 セイタカアワダチソウで吸蜜するツマグロヒョウモン Argyreus hyperbius ♀(2022年11月2日)
↑写真17 セイタカアワダチソウで吸蜜するツマグロヒョウモン♂(2022年11月2日)
ドクチョウ亜科の種としてはミドリヒョウモン(写真18)とメスグロヒョウモン(写真19)を一回ずつ目撃しました。ミドリヒョウモンは昨年秋も一度目撃しています。
↑写真18 ノハラアザミを訪れたミドリヒョウモン Argynnis paphia ♀(2022年10月3日)
どちらのヒョウモンチョウも埼玉県東部では滅多に見られない種ですが、県境の千葉県側ではときどき見かけますので、飛来する可能性、あるいは生息の可能性もあります。
↑写真19 樹木にとまるメスグロヒョウモン Damora sagana ♀(2022年9月26日)
クロコノマチョウはジャノメチョウ亜科の南方系のチョウですが、この種も年を追って北上化し、最近では埼玉県内でも見ることができます。ゆるむしの森では稀にしか目撃できませんが、毎年見ることができますし(写真20)、幼虫の発生も確認しています。
↑写真20 エノキ幼木にとまるクロコノマチョウ Melanitis phedima(2022年9月26日)
写真21はシジミチョウ科のウラギンシジミです。個体数はそれほど多くないですが、一年中見ることができます。
↑写真21 エノキ低木にとまるウラギンシジミ Curetis acuta(2022年10月21日)
写真22はベニシジミです。セイタカアワダチソウで吸蜜中です。
↑写真22 セイタカアワダチソウで吸蜜するベニシジミ Lycaena phlaeas(2022年10月21日)
ゆるむしの森にはアラカシ、シラカシなどのブナ科常緑樹は低木しかありませんが、隣接する神社の森ではシラカシの高木が生えており、これを食樹とするムラサキシジミを見ることができます(写真23)。
↑写真23 下草にとまるムラサキシジミ Narathura japonica(2022年9月26日)
秋に最も多く見られるシジミチョウがウラナミシジミです(写真24、25)。
↑写真24 コセンダングサで吸蜜するウラナミシジミ Lampides boeticus(2022年10月21日)
↑写真25 コセンダングサにとまるウラナミシジミ(2022年10月21日)
セセリチョウ科の仲間ではイチモンジセセリ(写真26)、チャバネセセリ(写真27)、オオチャバネセセリ(写真28)を常時見ることができます。
↑写真26 コセンダングサで吸蜜するイチモンジセセリ Parnara guttata(2022年10月11日)
↑写真27 コセンダングサで吸蜜するチャバネセセリ Pelopidas mathias(2022年10月11日)
↑写真28 カラスウリにとまるオオチャバネセセリ Zinaida pellucida(2022年9月26日)
11月いっぱいまで、暖かい晴れた日には、セイタカアワダチソウを訪れるチョウを見ることができるでしょう。
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