カテゴリー:生き物観察
「ゆるむしの森」の特徴の一つとして、ハンノキを中心とした森があります。この森や周辺には、ハンノキが好む湿地があるわけでもないのに、数えただけでも10 m 程度のハンノキが50本程集まった森が形成されています。
ハンノキと言えば、ミドリシジミ Neozephyrus japonicus やオナガミズアオの幼虫が食草とする木で、後者はすでにこの森で何度も見かけていますが(→オナガミズアオ)、前者はこれまで未確認でした。そこで、今日は、ミドリシジミの幼虫探しをすることにしました。
ミドリシジミの幼虫は大きくなると、葉を巻いて(巣をつくり)中に隠れる性質がありますので、餃子の形に似た巻いた葉を目印に探すことができます。4月下旬がちょうど探すチャンスです。
今日、ハンノキの森に入り、一本一本丁寧に探したところ、それらしき”ハンノキギョーザ”が直ぐに見つかりました(写真1)。
↑写真1
一つギョーザを確認すると、後は続けざまに見つけることができ、1本のハンノキで10個ほどになりました。ただ、写真2のようにひしゃげた形のものもあり、これら全部がミドリシジミのものか今ひとつ自信がありません。
↑写真2
そこで、典型的な形のもので、先が少し開いたものがあったので、これを覗いてみることにしました(写真3)。
↑写真3
くっついていた糸をほぐして中を開いてみると、いました。ミドリシジミの幼虫です(写真4)。ゆるむしの森で初めて確認しました。6月になれば、成虫が乱舞する姿が見られることでしょう。
なお、ミドリシジミは埼玉県の「県のチョウ」に、かつ準絶滅危惧1型(NT1)に指定されています。
↑写真4
葉を開けてしまって幼虫には気の毒なことをしてしまいましたが、3時間後に同じ葉を見たら、しっかり再縫合してありました。
それにしても水田地帯の真ん中にある森なのに、いったいどこからこのチョウはやってきたのでしょう。この森の周囲1km の範囲には、まとまったハンノキの林はありません。ところどころに、ハンノキの孤立木を含む雑木林や屋敷林があるのみです。これらの残った孤立木を食べながら細々と命をつなぎ、これまで生きてきたのでしょうか。
いずれにしろ、この森の楽しみがまたひとつ増え、保護活動の新たな目標もできました。
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