ゆるむしの森プロジェクト

休耕田に自然発生した森林緑地「ゆるむしの森」の観察、管理・運営活動を中心とする情報ブログ

7月のチョウ−2023

カテゴリー:生き物観察

2023年の7月も残りわずかとなりましたが、連日猛暑が続いています。ゆるむしの森でも日中35℃を超える毎日ですが、木々の間に入れば1-2℃下がりますので、まだ過ごしやすいです。この記事では今年の7月に見られたチョウを紹介します。基本的に6月とあまり変わりませんが、若干の種の入れ替えと、暑い7月下旬における個体数の減少が見られます。 

写真1は、森のシンボルの一つであるハンノキのツインタワーです。下草が繁茂し、観察路を覆ってしまうので、この時期、道を確保する草刈りが大変です。

↑写真1(2023年7月24日)

写真2中央は、この森で一番樹液が豊富なマルバヤナギですが、今年は幹をかじるオオスズメバチの活動が悪く、樹液が枯れ気味です。

↑写真2(2023年7月24日)

以下、写真に収めることができた種類を、シロチョウ科、タテハチョウ科、シジミチョウ科、セセリチョウ科の順に挙げます。

まずはモンキチョウです(写真3)。シロチョウ科の種は全般的に夏には個体数が減り、シャッターチャンスも少ないです。

↑写真3  モンキチョウ Colias erate(2023年7月7日)

写真4–12はタテハチョウ科の仲間です。タテハチョウ亜科のなかでは、ヒメアカタテハ写真4)がキタテハの次に多い種ですが、目撃回数はそれほど多くありません。
↑写真4  ヒメアカタテハ Vanessa cardui(2023年7月7日)

コムラサキ写真5)はこの森でよく見られるコムラサキ亜科の種で、7月半ば過ぎから2化目の個体が多くなります。

↑写真5  コムラサキ Apatura metis(2023年7月28日)

コムラサキ亜科の種で最も多く見られるのがアカボシゴマダラです(写真6)。いま2化目の個体(夏型)が乱舞しています。

↑写真6  アカボシゴマダラ Hestina a. assimilis(2023年7月18日)

6月は目撃頻度が少なくなったコミスジ写真7)ですが、7月にまた多く見られるようになりました。

↑写真7  コミスジ Neptis sappho(2023年7月7日)

ミスジと同様、アサマイチモンジ(写真8)も7月に入って多く見られるようになりました。2化目の個体です。イチモンジチョウ亜科のなかでは、コミスジと並んで普通に見られます。

↑写真8  アサマイチモンジ Limenitis glorifica(2023年7月28日)

写真9ツマグロヒョウモンです。森内の草地部分でよく見かけるドクチョウ亜科の種で、季節性はあまり感じません。

↑写真9  ツマグロヒョウモン Argyreus hyperbius(2023年7月2日)

ジャノメチョウ亜科の種は季節性が見られます。6月にはあまり見かけなくなっていたヒメジャノメ(写真10)ですが、7月に入って増えてきました。2化目の個体だと思います。

↑写真10  ヒメジャノメ Mycalesis gotama(2023年7月24日)

ジャノメチョウは今年の7月になって初めて複数個体を目撃した種です(写真11)。

↑写真11  ジャノメチョウ Minois dryas(2023年7月7日)

ヒメウラナミジャノメ(写真12)も6月はほとんど見られませんでしたが、7月になって増えてきました。

↑写真12  ヒメウラナミジャノメ Ypthima argus(2023年7月2日)

ジャノメチョウ亜科のなかでは、6月には沢山見られたヒカゲチョウですが、7月に入ってほとんど見かけなくなりました。サトキマダラヒカゲは6月から相変わらずほとんど見かけませんが、そろそろ増えてくる時期だと思います。

写真13-17シジミチョウ科の種です。ウラギンシジミ写真13)は目撃頻度は少ない方ですが、季節を問わず年中見ることができます。

↑写真13  ウラギンシジミ Curetis acuta(2023年7月28日)

ミドリシジミは年1化性で、6月に発生しますが、7月に入ってもまだまだ姿を現してくれます(写真14)。

↑写真14  ミドリシジミ Neozephyrus japonicus(2023年7月7日)

この時期で意外だったのがウラナミシジミの目撃です(写真15)。例年夏の終わりとともに北上化してきて見られるという印象ですが、今年は早くも姿を見ることができました。地球温暖化の影響でしょうか。

↑写真15  ウラナミシジミ Lampides boeticus(2023年7月24日)

写真16はルリシジミです。5月からずうっと見られる種で、類縁のヤマトシジミよりやや大きく、色が明るい感じで、高い位置を飛ぶこともあるのでも、飛んでいても見分けることができます。

↑写真16  ルリシジミ Celastrina argiolus(2023年7月28日)

ヤマトシジミ写真17)は初春からずうっと見られる種ですが、夏はとくに個体数が増えるようです。写真は交尾中の個体ですが、♀は裏翅の黄色味が強いので区別がつきます。

↑写真17  ヤマトシジミ Zizeeria maha(2023年7月7日)

セセリチョウ科のチョウでは、イチモンジセセリ写真18)が最も普通の種で、5月から発生しますが、本格的に姿を現すのは7月からです。

↑写真18  イチモンジセセリ Parnara guttata(2023年7月24日)

イチモンジセセリと同様の季節パターンを示すのが、チャバネセセリです(写真19)。

↑写真19  チャバネセセリ Pelopidas mathias(2023年7月7日)

オオチャバネセセリ(写真20)は上記2種と比べて発生時期がやや遅れます。6月中旬〜7月に最も多く見られ(この時期最も多いセセリチョウ)、秋になるとまた増えてきます。

↑写真20  オオチャバネセセリ Zinaida pellucida(2023年7月2日)

セセリチョウのなかで個体数が少ないのがコチャバネセセリです(写真21)。ゆるむしの森ではメダケ林の周辺でよく見ることができます。

↑写真21  コチャバネセセリ Praethoressa varia (Thoressa varia)(2023年7月7日)

さらに個体数が少ないと感じるのがミヤマチャバネセセリです(写真22)。4月に発生し、一旦見られなくなり、7月にまた見られるようになります。

↑写真22  ミヤマチャバネセセリ Pelopidas jansonis(2023年7月4日)

上記の写真で示したチョウ以外で、今年の7月に見られた種は以下のとおりです。

アゲハチョウ科:アゲハチョウ、クロアゲハ、ナガサキアゲハ、アオスジアゲハ

シロチョウ科:モンシロチョウ、キタキチョウ

タテハチョウ科:キタテハ、ゴマダラチョウヒカゲチョウサトキマダラヒカゲ、テングチョウ

シジミチョウ科ベニシジミ、ツバメシジミ

セセリチョウ:ダイミョウセセリ

           

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