カテゴリー:樹木と草本
10月の入り、「ゆるむしの森」でもちょっぴり秋の様相を呈してきました。ここでは今の時期の森の様子を、樹木を中心に紹介したいと思います。森の周囲には常緑の高木も見られますが、森内に生えている高木、亜高木はすべて落葉広葉樹です。
まずは、森の北西部の入り口にあるハンノキの高木です(写真1、2)。樹高 20 mに達するこのハンノキはゆるむしの森のシンボル的存在です。2019年の台風でだいぶ枝折れしましたが健在です。おそらく、この森のハンノキ群生の起点になった樹木だと思われます。
写真1 ハンノキ Alnus japonica(カバノキ科ハンノキ属)の高木(2022年10月3日)
写真2 ハンノキの高木の主幹(2022年10月3日)
北西の入り口からハンノキの森に入っていきます(写真3)。
写真3 ハンノキの森の入り口からの観察路(2022年10月3日)
ハンノキの森に入ると、樹高 10 m を超える約40本のハンノキが群生しており、ミドリシジミやオナガミズアオなどのチョウ目昆虫の生息を支えています。写真4、5はそのうちの1本を示します。
写真4 ハンノキ(2022年10月3日)
写真5 ハンノキの主幹と葉(2022年10月3日)
ハンノキの森を抜けて南側に出ると、草地が広がっており、ところどころにハンノキの孤立木が見られます。写真6はこれもシンボル的なハンノキのツインタワーです。草地ではセイタカアワダソウの侵入が著しく、定期的に引き抜きを行なっています。春の様子(写真7)と比べると、繁茂ぶりがよくわかります。
写真6 ハンノキのツインタワー(2022年10月3日)
写真7 ハンノキのツインタワー(2022年4月30日)
写真8は、南側の草地からハンノキの森を見たところです。ヨシの穂が秋を感じさせます。
写真8 ヨシ Phragmites australis(イネ科ヨシ属)が生える草地からみたハンノキの森(2022年10月3日)
ハンノキの森の東側は水田になっています。写真9は、稲刈り後の水田(刈り取られた跡から新たな苗が出ています)からハンノキの森を見たところです。右側の樹木はマルバヤナギです。
写真9 水田から望むハンノキの森(2022年10月3日)
ハンノキの森には数本のマルバヤナギが混在しています。森の東端には樹高 10 m を超えるマルバヤナギが生えています(写真10、11)
写真10 ハンノキの森の東端に生えるマルバヤナギ Salix chaenomeloides(ヤナギ科ヤナギ属)(2022年10月3日)
写真11 マルバヤナギの主幹と葉
マルバヤナギは6月から7月にかけて新葉が紅葉するので、別名アカメヤナギともよばれます(写真12)。初夏には発生する綿毛が飛散して、森全体が吹雪のような感じになります。
写真12 マルバヤナギの紅葉(2022年7月7日)と綿毛(2022年5月18日)
この森にはマルバヤナギのほかにカワヤナギがたくさん生えており、これらのヤナギ類が、タテハチョウ科コムラサキの生息を支えています(写真13)。だいぶ数は少なくなりましたが、今日もこれらのヤナギの周りをコムラサキが飛翔していました。
写真13 ハンノキの森の西端に生えるカワヤナギ Salix gilgiana(ヤナギ科ヤナギ属)(2022年10月3日)
ゆるむしの森の南西側には、北側のハンノキの森と草地を隔ててメダケ林があります。写真14はそのメダケ林の北端にある樹高 8 mのマグワです。クワの木はこの森に点在しています。とても成長が速い木です。
写真14 マグワ Morus alba(クワ科クワ属)の木(2022年10月3日)
このクワの木は、東側のアキニレの森に続く観察路の入り口になっています(写真15)。右側にメダケ Pleioblastus simonii(イネ科メダケ属)が見えます。
写真15 ゆるむしの森西側の観察路の入り口(2022年10月3日)
メダケ林を右手に見て抜けると、樹高約 8 mのムクノキがあります(写真16、17)。ムクノキもこの森に点在します。
写真16 ムクノキ Aphananthe aspera(アサ科ムクノキ属)(2022年10月3日)
写真17 ムクノキの主幹と葉(2022年10月3日)
ムクノキの南側には、アカメガシワの低木(樹高約 6 m)があります(写真18、19)。
写真18 アカメガシワ Mallotus japonicas(トウダイグサ科アカメガシワ属)(2022年10月3日)
写真19 アカメガシワの主幹と葉(2022年10月3日)
アカメガシワのすぐ南側にはエノキの低木が生えています(写真20)。樹高約 6 mです。左手にアカメガシワ、右手にムクノキが見えています。
写真20 エノキ Celtis sinensis(アサ科エノキ属)(2022年10月3日)
エノキは、この森においてハンノキ、アキニレに次いで多い樹木で、あちこちに点在しています。写真21、22は、水田の東側にある混成の森(アキニレ、エノキ、カワヤナギ、ムクノキ、クワが混在)にあるエノキの一つ(樹高 8 m)です。
写真21 エノキ(2022年10月3日)
写真22 エノキの主幹と葉(2022年10月3日)
一部のエノキ(樹高 5 m)はもう紅葉していました(写真23)。
写真23 紅葉したエノキ(2022年10月3日)
樹高 5 mを超えるエノキは、森内で8本確認しており、周囲には 20 mの高木も存在し、タテハチョウ科のゴマダラチョウやヒオドシチョウの発生を支えています。一方、同じくエノキを食樹とするアカボシゴマダラは、多くは低幼木に発生します。
最後はアキニレです。ゆるむしの南東側には、ほぼアキニレ(樹高 10 m程度)から成る森があり、夏になるとたくさんのクワガタムシが見られます。またヒオドシチョウの幼虫も見ることができます。写真24は、枝先の葉を下から見た写真で、ツマグロヒョウモンがとまっていました。
写真24 アキニレ Ulmus parvifolia(ニレ科ニレ属)の枝先の葉(2022年10月3日)
ゆるむしの森に見られる低幼木については別のページで紹介したいと思います。
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