ゆるむしの森プロジェクト

休耕田に自然発生した森林緑地「ゆるむしの森」の観察、管理・運営活動を中心とする情報ブログ

ゆるむしの森ー初めての生き物観察

カテゴリー:生き物観察

今日、「ゆるむしの森プロジェクト」の活動拠点の予定地である埼玉県内の森の視察と生き物調査を初めて行いました(→ゆるむしの森活動拠点の視察)。目的地に到着して、ハンノキ自生の林、アキニレ自生の林の周辺、メダケ林、これらの間にある田んぼや草地を順に観察しました。

最初に驚いたのは、アマガエル(ニホンアマガエルDryophytes japonica)やヌマガエルがとても多いことでした(写真1)。土の上、草むら、灌木の葉の上など、とにかくこれでもかと出てきます。そのせいか、ヘビも多いようでアオダイショウやヤマカガシを目撃することができましたが、残念ながら写真に収めることができませんでした。

↓写真1f:id:yurumushinomori:20211122174731j:plain

昆虫では、キタテハ(タテハチョウ科)が乱舞するのが目立ちました(写真2)。コムラサキゴマダラチョウも1頭ずつ目撃しました。それぞれのタテハチョウの食草であるカナムグラ、ヤナギ類、エノキの亜高木も確認することができました。

↓写真2f:id:yurumushinomori:20211122174747j:plain

森のエリアの周辺には沢山のエノキ低幼木が自生していたため(写真3)、葉上を観察してみました。ちょうど、アカボシゴマダラ Hestina assimilis assimilis (日本本土産)の2化目の終齢幼虫の時期です。

↓写真3f:id:yurumushinomori:20211122174802j:plain

案の定、エノキの葉上には沢山のアカボシゴマダラの終齢(5齢)幼虫を観察することができました(写真4, 5)。日本本土産のアカボシゴマダラは特定外来生物に指定されている、主に関東地域に生息するチョウですが、幼虫段階で同じエノキを食樹とする在来種のゴマダラチョウとは棲み分けをしているようであり、もはや共存している印象を受けます。

↓写真4f:id:yurumushinomori:20211122174813j:plain

↓写真5f:id:yurumushinomori:20211122180929j:plain

チョウ類ではこのほかに、アオスジアゲハ、キアゲハ、ナガサキアゲハ、モンシロチョウ、キチョウ、コミスジヒカゲチョウ、ヒメジャノメ、サトキマダラヒカゲツマグロヒョウモンヤマトシジミベニシジミ、ツバメシジミイチモンジセセリ、オオチャバネセセリ(埼玉県准絶滅危惧種)などの成虫を観察することができました。

水田に目を投じると沢山のオタマジャクシとともにガムシ Hydrophilus acuminatus(埼玉県准絶滅危惧種)の幼虫を見ることができました。ミミズを捕食する光景は迫力がありました(写真6)。

↓写真6f:id:yurumushinomori:20211122174850j:plain

森の横の小川には、ヘラブナやコイ、イシガメを見ることができました。さらに、草むらにはキジの夫婦がいたのには感動しました。

正味1時間の視察・観察でしたが、1ヘクタール弱のエリアの中で期待以上の多くの種類の生き物を観察することができました。これから、植生の調査を行いながら、森の奥や草むらの中の生き物も詳しく見て行く予定です。

引用したブログ記事

2021年6月28日  ゆるむしの森活動拠点の視察 

            

カテゴリー:生き物観察