ゆるむしの森では、セセリチョウの種が豊富に発生します。しかし、現場での種の識別はなかなか大変です。セセリチョウは素早く飛ぶ種が多く、翅の模様も似ているので、動いている状態での同定はまず不可能です。同定には、止まった状態で翅の裏面の白斑点の並びを入念にチェックするか(場合によってはカメラに収めて確認する)、捕虫網で捕らえて確認するしかありません。
特に紛らわしいのが、セセリチョウ亜科のイチモンジセセリとオオチャバネセセリです。両種は、基本的に、後翅裏面の白斑点が真っすぐ並ぶか、ジグザグに並ぶかで識別可能ですが、実は紛らわしいのがけっこういるのです。
一昨日ゆるむしの森を訪れた際には、10頭以上のセセリチョウにお目にかかりましたが、イチモンジセセリとオオチャバネセセリが半々でした。一部を除いて、写真に撮って拡大してみないと同定は困難でした。
写真1は、典型的な模様のイチモンジセセリを示します。後翅の4つの白斑点が一列に並んでいます。
↑写真1 イチモンジセセリの典型的個体(2023年8月5日)
写真2は、後翅の白斑点がちょっぴりズレたイチモンジセセリです。
↑写真2 後翅の白い斑点が直線上からややズレたイチモンジセセリ(2023年8月5日)
写真3は、後翅の白斑点の発達が弱い個体です。このくらいになると写真撮影して拡大してみないと、同定が難しいです。
↑写真3 後翅白斑点の発達が弱いイチモンジセセリ(2023年8月5日)
写真4は、やはり後翅の白斑点がややジグザクに並んでいる個体です。これも写真撮影して拡大してみないと、同定が容易ではありません。
↑写真4 後翅白斑点の発達が弱く直線上からややズレたイチモンジセセリ(2023年8月5日)
写真5はオオチャバネセセリです。後翅白斑点の発達が弱く、写真で確認しないと同定が難しい個体です。写真4のイチモンジセセリと比べるとわかりますが、よく似ています。オオチャバネセセリはイチモンジセセリよりもやや大きく太って見えるので、それも参考にすることができます。
↑写真5 後翅白斑点の発達が弱いオオチャバネセセリ(2023年8月5日)
写真6は、後翅白斑点がよく発達した典型的なオオチャバネセセリです。
↑写真1 オオチャバネセセリの典型的個体(2023年6月21日)
これから秋にかけて、イチモンジセセリとオオチャバネセセリの個体数がまた一段と増えてくると思います。
カテゴリー:生き物観察