ゆるむしの森プロジェクト

休耕田に自然発生した森林緑地「ゆるむしの森」の観察、管理・運営活動を中心とする情報ブログ

5月初旬の樹木観察

カテゴリー:樹木と草本

5月に入り、新緑の季節になりました。「ゆるむしの森」も緑が豊かになってきました。この時期、葉をつけてきた樹木をいくつか紹介します。

写真1は、森の入り口に生えるノイバラ Rosa multifloraバラ科バラ属)です。白い花をつけていて、いい香りを放っていました。

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次は、この森の中では比較的高木のマルバヤナギ Salix chaenomeloides(ヤナギ科ヤナギ属)です(写真2-4)。樹高 10 mを超えます。新葉は赤くなるので、別名アカメヤナギともよばれます。

↓写真2f:id:yurumushinomori:20211124205717j:plain

その名のとおり、葉は丸みを帯びます(写真3)。細長い円錐形の雄花序が観察できました。

↓写真3f:id:yurumushinomori:20211124205912j:plain

幹はヤナギ特有のゴツゴツした感じで、粗い縞模様が見られます(写真4)。初夏になると樹液が出てきて、沢山のチョウ、甲虫類、スズメバチが集まってきます。

↓写真4f:id:yurumushinomori:20211124205747j:plain

写真5は、同じヤナギ属のカワヤナギ Salix gilgiana です。この森には少なくとも10本以上は生えていて、タテハチョウ科のコムラサキの生息を支えています。

↓写真5

写真6はエノキ Celtis sinensis(アサ科エノキ属)です。大きくなると樹高 20 mを超えますが、この森ではまだ樹高 10 mを超えるものは少ないです。この木を食樹とするゴマダラチョウの幼虫は高木を好むといわれていますが、この森では 3-10 m 程度の低木にたくさん発生しています。

↓写真6

ゆるむしの森にはアキニレ Ulmus parvifolia(ニレ科ニレ属)が豊富に存在しますが、この時期葉上に虫こぶ(アキニレハフクロフシ)が沢山見られました(写真7)。アキニレヨスジワタムシ(アブラムシ科タマワタムシ亜科Tetraneura)が作る虫こぶですが、鮮やかな赤い葉瘤なので、何かの実か?と見間違うほどです。

↓写真7f:id:yurumushinomori:20211124205951j:plain

写真8, 9は、アジサイ科ウツギ属の落葉低木、ヒメウツギ Deutzia gracilis です。白い可憐な花を咲かせる低木です。

↓写真8f:id:yurumushinomori:20211124210006j:plain

枝先には多数のつぼみが見られました。まもなく白い花が開くことでしょう。

↓写真9f:id:yurumushinomori:20211124210020j:plain

この森にはスイカズラ Lonicera japonicaスイカズラスイカズラ属)もたくさん生えています(写真10)。白い花に鼻を近づけると香水のようないい匂いがします。タテハチョウ科のイチモンジチョウやアサマイチモンジの食草です。

↓写真10

最後はハリエンジュ Robinia pseudoacacia です(写真11)。北米原産のマメ科の落葉樹でニセアカシアともよばれます。侵略的外来種であり、共生する根粒菌が窒素固定をするので、痩せた土地でも旺盛に繁殖します。ゆるむしの森では高木はまだ1本のみですが、低幼木が周囲にたくさん生えていて油断すると広がっていきますので、適宜伐採処理が必要になると思います。

↓写真11

                            

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