カテゴリー:生き物観察
5 月に入ると、見かけるチョウの種類も多くなってきます。ここでは、2025 年 5 月にゆるむしの森で目撃できた主なチョウを紹介します。例年と同様な種類の発生が確認できていますが、個体数は若干増えており、森の植生の変遷と成長に伴うものでしょう。
写真1 はアゲハチョウで、ホトケノザで吸蜜していました。ホトケノザで吸蜜する姿はこれまであまり見かけたことはありません。
↑写真1. ホトケノザで吸蜜するアゲハチョウ(2025.05.05)
アゲハチョウ科の種は 5 月から目立ってきます。5 月の森内には、毎年、あちこちスイカズラの花が咲き、ジャスミンのようないい匂いを漂わせますが、今年もナガサキアゲハ(写真2)やジャコウアゲハが盛んに訪れていました。
↑写真2. スイカズラで吸蜜するナガサキアゲハ(2025.05.20)
ジャコウアゲハは、食草のウマノスズクサの周辺をユラユラと飛んでいることが多く、時々周辺の樹木や草に翅を休めます。写真3 は、柿の葉の上に止まったところを撮ったものです。
↑写真3. ジャコウアゲハ(2025.05.05)
ウマノスズクサをチェックしたら、早速産卵と幼虫の発生を確認できました(写真4)。
↑写真4. ウマノスズクサの葉裏に位置取るジャコウアゲハの幼虫(2025.05.28)
森内には、ところどころにタヌキのため糞があります。タイミングがいいと、ため糞の養分を吸いに来るチョウに出会えることがあります。今年の 5 月は、クロアゲハが訪れていました(写真5)。そのほかには、コムラサキやウラギンシジミが訪れていましたが、シャッターチャンスがありませんでした。
↑写真5. ため糞の養分を摂るクロアゲハ(2025.05.20)
5 月は、スイカズラと入れ替わるようにウツギの花が咲き始めます。早速モンシロチョウが訪れていました(写真6、7)。
↑写真6. ヤエウツギ(ウツギの品種)の花を訪れるモンシロチョウ(2025.05.28)
春先に発生したモンシロチョウは 5 月初旬に個体数を減らしますが、下旬から 2 化目が発生し始め、急速に個体数を増していきます。この時期、ヤエウツギやネズミモチの白い花に群がっていて、優雅な光景が見られます。
↑写真7. モンシロチョウ(2025.05.28)
シロチョウ科では、この時期モンキチョウも 2 化目の発生が始まります(写真8)。
↑写真8. モンキチョウ(2025.05.28)
上記シロチョウ科 2 種と並んで、最も普通なシロチョウ種がキチョウ(キタキチョウ)ですが、例年この時期はとても少なく、写真に収めることができませんでした。
5 月は、幼虫で越冬したタテハチョウ科の多くの種が本格的に発生する時期です。ゴマダラチョウは、それを代表する種の一つです。写真9 の個体は、エノキ低木を枝上を盛んに動き回っていて、早速産卵をする様子でした。1 化目の成虫は白化していることが多いですが、この個体もその傾向が見られました。
↑写真9. エノキ上のゴマダラチョウ(2025.05.14)
ゴマダラチョウは木々の周りを高速で飛んでいることが多く、写真に撮るのが容易でないですが、写真10 の個体は、クワの木に止まっているところを偶然目撃できました。この個体も白化しています。
↑写真10. クワの葉に止まるゴマダラチョウ(2025.05.28)
白色型と言えば、1 化目のアカボシゴマダラはより顕著です(写真11)。ゴマダラチョウとほぼ同じ発生サイクルを持ち、少なくとも 5 月、7 月、8 月下旬〜9 月の年 3 回発生します。白いやや大型のチョウが森内を飛翔する姿は優雅で目立ちます。写真11 の個体は、アカボシが全く消失しています。
↑写真11. アカボシが消失した白化型アカボシゴマダラ(2025.05.28)
タテハチョウ科の中でも、成虫で越冬するタテハチョウ亜科の種の発生となると、5月はまだ早く、キタテハくらいしか見かけません。ルリタテハは 5 月下旬になると、終齢幼虫(写真12)あるいは蛹の状態で見ることができます。
↑写真12. サルトリイバラの葉裏で丸くなるルリタテハの終齢幼虫(2025.05.20)
写真13 は、幼虫で越冬するタテハチョウの仲間であるイチモンジチョウです。ウツギの花で吸蜜していました。森内では、食草のスイカズラが豊富に生えていますので、イチモンジチョウは割と見かける機会が多いです。
↑写真13. ウツギで吸蜜するイチモンジチョウ(2025.05.28)
類似種のアサマイチモンジ(写真14)も混在していました。アサマイチモンジは、埼玉県の準絶滅危惧種(NT2)の一つですが、ゆるむしの森ではコンスタントに見ることができます。
↑写真14. 小川沿いに生えたサツキの上で止まるアサマイチモンジ(2025.05.14)
5 月に入るとやはり姿を見せてくれるのがジャノメチョウ亜科のヒメジャノメです(写真15)。
↑写真15. ヒメジャノメ(2025.05.05)
ヒメジャノメと並んで姿を現すジャノメチョウが、サトキマダラヒカゲです(写真16)。
↑写真16. サトキマダラヒカゲ(2025.05.28)
セセリチョウ科の中では、5 月を代表する種と言えばダイミョウセセリです(写真17)。
↑写真17. カラムシの葉上にとまるダイミョウセセリ(2025.05.14)
春に発生するセセリチョウ種としては、ミヤマチャバネセセリとギンイチモンジセセリが代表的ですが、この 2 種に次いで 4 月下旬〜 5 月上旬から姿を見せ始めるのがコチャバネセせりです(写真18、19)。埼玉県の準絶滅危惧種(NT2)の一つです。
↑写真18. オヤブジラミの葉上にとまるコチャバネセセリ(2025.05.05)
↑写真19. ヒメジョオンで吸蜜するコチャバネセセリ(2025.05.08)
上で名前を挙げた種の他に、キアゲハ、アオスジアゲハ、コミスジ、ウラギンシジミ、ベニシジミ、ルリシジミ、ツバメシジミ、ヤマトシジミを 5 月中に見ることができました。
カテゴリー:生き物観察