2024.11.04更新
カテゴリー:生き物観察
年を経るごとにだんだんと夏が暑くなり、かつ長期化していますが、今年の夏は特に著しいものでした。秋の訪れが遅くなっていますが、それでも10月も半ばを過ぎると秋らしくなってきます。ここでは温暖化と秋を象徴するチョウ種の一つとして、クロコノマチョウを取り上げたいと思います。
クロコノマチョウは、タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科の種で、日本産のジャノメチョウとしては最も大きい部類に入ります(前翅長が 40 mm 前後)。南方系の種で、西日本では普通種ですが、それより東へ北へ向かうにしたがって個体数が少なくなり,本州における分布の東北限は神奈川、千葉県付近と言われています。そして、ゆるむし森が位置する埼玉県内でも年を経て目撃例が増えてきました。
ゆるむし森では 3 年前からちらほら見かけるようになり、今年になって一気に個体数が増えました。成虫で越冬するので一年中見られる種ですが、主に 7 月中旬から新規個体が発生するようになり、秋に最盛期を迎えます。黒木間蝶と漢字で表されるとおり、森林性が強く、日中は日光が当たらない林間やブッシュの中でじっとしていることが多いです。林の中を歩いていると、突然ヒラヒラと飛び出してきて驚かせてくれます。夕方になると活発に飛び回る性質があります。
クロコノマチョウの翅は濃い茶色です。夏型と秋型があり、前者で比較的黒っぽいですが、後者では翅裏が枯葉模様になります。裏翅の色や模様は個体差が大きく、写真に撮ってよく見ると、ほとんど全てが違う色彩と模様をしてします。
翅の表翅の両端には大きな蛇目模様がある一方、裏翅は目立った蛇目がなく、翅を閉じて静止するので、地面に止まっている時は保護色になって見つけるのは簡単ではありません。写真1 は地面にとまる夏型の個体です。羽化してから時間が経っているためか、少し色が薄くなっています。
↑写真1. 地面に静止するクロコノマチョウ Melanitis phedima(2024.09.26)
写真2 は、アキニレの葉上にとまった秋型の個体です。写真1 の個体に比べて明るい色をしています。
↑写真2. アキニレの上にとまるクロコノマチョウ(2024.10.11)
写真3-5 は、同じ日に撮った別々の 3 個体です。写真3 の個体は、写真2 のそれと似ていますが、後翅縁の小さな斑点が 1 個多いです。
↑写真3. 下草の上にとまったクロコノマチョウ(2024.10.17).
写真4 の個体は上記よりも色が濃いめです。
↑写真4. 地面に静止するクロコノマチョウ(2024.10.17)
さらに、胴体に向けて色が濃くなった個体です(写真5)。
↑写真5. ムキノキの幹にとまったクロコノマチョウ(2024.10.17).
写真6-8 は、さらに日が経って撮った別個体です。それぞれ、微妙に異なる色彩と模様を持っています。
↑写真6. 地面にとまるクロコノマチョウ(2024.10.22)
↑写真7. 落ち葉の上にとまるクロコノマチョウ(2024.10.22)
↑写真8. 落ち葉の上にとまるクロコノマチョウ(2024.11.04)
このようにしてみると、あらためて、クロコノマチョウは色彩と模様に個性があると感じます。
ゆるむし森には、クロコノマチョウが特に好むジュズダマをはじめとしてイネ科植物が豊富に生えており、本種の発生には適した環境だと思われます。温暖化がますます進行するとともに、目撃できる回数もさらに増えていくことでしょう。
クロコノマチョウ以外のジャノメチョウでは、ヒメジャノメがまだまだ沢山います。この時期は 4 化目の個体で、翅が傷んでおらずきれいです(写真8)。
↑写真9. ヒメジャノメ Mycalesis gotama(2024.10.17)
ヒカゲチョウもいますが、最盛期を過ぎています(写真9)。この森では主に 6 月と 9 月に発生します。
↑写真10. ヒカゲチョウ Lethe sicelis(2024.10.11)
10月も下旬になると、この森に沢山生えているアキニレの一部が色づき始めました。
↑写真11. 紅葉し始めたアキニレ Ulmus parvifolia(2024.10.22)
11月に入って赤みが増してきました。
↑写真12. 赤みを増したアキニレ Ulmus parvifolia(2024.11.04)
ジャノメチョウ以外のこの時期のチョウについては、次の記事で紹介したいと思います。
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